繊維ニュース 編集部ブログ

2020 01 Jun

さよなら 無乗客電車

 

【東京本社】このブログはおよそ2カ月おきに書かせてもらっている。くだんのカタカナ三文字(もう書き飽きた)についていうと、4カ月前に国内感染が確認され、その後国内外の

急増に歯止めがかからず2カ月前に緊急事態発令となった。

 とにかく、街からヒトが消えた。電車でふと顔を上げると乗客は自分だけ、という経験も。思わず「やりましたね、都知事!」と膝をたたいた。小池百合子知事は初出馬から「満員電車ゼロ」を公約に掲げた。期待していると、坂本龍馬を起用した時差出勤促進ポスターが登場した。「東京の朝を変えるぜよ」ときりっと訴える龍馬。これを見て時差出勤しようと思う人がどれくらいいるか知らないが、混雑はさっぱり減らなかったから、“通勤維新”は失敗で間違いない。ほか、「2階建て電車の導入」というダイナミックな案もあったが、知事本人が口にしなくなった。

 それが今日、この空きっぷり。幕末の偉人も、莫大な予算を食う新車両も必要なかったのだ。公約を見事に達成した知事。なのに、自慢するそぶりさえない。なんと謙虚な人柄か――。

 そしてまた2カ月後。通勤電車の乗車率はほぼ元通りになった。庶民は便利さにも不便さにもすぐに慣れるから、無乗客電車が走っていた記憶も薄れてしまうだろう。でも知事、私は忘れませんよ。約束守ってください。(周)