繊維ニュース 編集部ブログ

2020 16 Jul

製織から出る繊維くずを着火剤に

 

【大阪本社】全国の織布工場では毎年必ずといっていいほどどこかで火災が発生する。大抵の場合、出火時に鎮火できず大半の織機や時には建屋も全焼というほど被害が大きくなる。

 その理由は製織時に出るほこりにある。経糸や緯糸から出る細かな繊維や糸くずが工場内に飛び散り、こまめに掃除をしない工場では積もり積もってほこりの塊となる。塊は織機のいたるところに付着し、時間が経つと風などで工場のあちこちに散乱する。こうしたほこりにコンセントからの漏電で出た火花が引火し瞬く間に工場全体に燃え広がるというわけ。

 面白いのは最近、このほこりを集めて販売しようという織布事業者が出てきたこと。燃えやすいという性質を利用し、バーベキューなどで火を起こす際の着火剤としてアウトドア用品メーカーと一緒に商品化を進めている。単なる厄介なごみに過ぎない繊維くずの塊も、発想の転換で新商品に。しかもゴミを集めるので工場は奇麗になり火災も防げる。いいことづくめのアイデアだ。 (学)