桑原 ゆう
《若紫のうた》プログラムノート
明日、チェロの佐藤翔くんと三味線の本條秀慈郎くんによる「弦の織り逢い Vol.4」で、《若紫のうた》が再演となります。
《若紫のうた》は、元は三味線弾き唄いのソロのために書いた作品で、本條くんとご一緒している淡座の公演で初演しました。今年1月の「弦の織り逢い Vol.3」で大幅に手を加えたチェロと三味線のデュオ版を初演していただき、今回はその再演となります。テキストには泉鏡花の「あの紫は」という短い唄を用いました。繰り返し唄と向かい合い、唄の言葉の持つ本来の音やリズムをよく聴いて、それを大切に、壊さないように気をつけながら音楽をつけました。書き終えたあと、諸井誠さんが同じ唄に作曲されているのを知りました。結果的に似たような音の動きがいくつも見られ、作曲家としては何だか肩身が狭くなるとともに、素直に唄の言葉を捉えることができた証拠かもしれないと少し嬉しくも思うことでした。夕映えに浮かび上がる幾重の橋と少女、杜若の紫色の鮮やかさ... 少女に「源氏物語」紫の上の幼少期の姿がなぜだか重ね合わされ《若紫のうた》と名付けました。
弦の織り逢い Vol.4 ー織り合うサウンドスケープー

日時: 2015年10月14日(水) 19:15開演 (18:45開場)
チケット: 前売¥3,000 / 当日¥3,500
会場: 近江楽堂 東京オペラシティ3F (京王新線・初台駅東口より徒歩3分)
*就学前の小さなお子様のご来場に関してはお問い合わせください
出演: 佐藤翔 (チェロ)、本條秀慈郎 (三味線)
ゲスト: 岩坪成美(語り)
*演目
・ 劇的音楽「私は忘れない」 語り手とチェロ、三味線のための
[作曲: 田口和行、構成: 大石泰、原作: 有吉佐和子 / 2015年委嘱作品]
・江戸室内歌曲 - 端唄「茄子と南瓜」
・ー音景の対比ー
チャッコーナ [ジュゼッぺ・コロンビ / Ca.1670]
小倉踊り ~糸竹初心集より~ [作者不詳] 三味線ソロ
牧歌的な主題による変奏曲 ~チェロソナタより~ [ジョージ・クラム / 1955] チェロソロ
ラウンド ~三絃組曲より~ [ルー・ハリソン / 1996] 三味線ソロ
夜想曲 第2番 [平井京子 / 2012] 三味線ソロ
「時」第1番 ~フットポンプのリズムにのせて~ [平井京子 / 2014] チェロソロ
チャコナ ~G.コロンビのチャッコーナによる~ [タン・ドゥン / 2010] チェロソロ
・若紫のうた [桑原ゆう / 2014]
他
*ご予約・お問い合わせ (佐藤)
E-mail: sho.sato.vc@gmail.com
Tel: 090-3520-8534
チェロと三味線、東洋と西洋、言葉と音の交わるところをぜひ聴きにいらしてください。