桑原 ゆう
24Apr2019_低音デュオ第11回演奏会
My new piece "Ukiyo Shinobi Kudoki Uta" for baritone and tuba, commissioned by Teion Duo, was premiered by them.
低音デュオ第11回演奏会にて《浮世忍びくどき歌》が初演されました。
リハーサルでは、グリッサンドはもっと均等にとか、「か」は子音をあまり強く発音しすぎないとか、タングラムはもっとナイーブな感じにとか、ぶら下げられてるような感じの大きなritとか、細かなニュアンスまでご相談しました。
私のスコアは情報量が多いほうだとは思うのですが、細かいニュアンスや間合いについては、やはり完全には書けないし(それが透けて見えるスコアになるように努力はしていますが...)、どうにか言葉で伝えつつも、演奏を重ねることで発見していっていただかないといけないものだと思うのです... 初演の演奏は、ううんと溜めてチューバが入る感じとか、旋律線がぐーっと引っ張られながら音を下げていく感じとか、それ、それなんです〜!って言いたくなるところがたくさんで、とっても嬉しくなりました。これから作品が育っていくことが楽しみです。
以下、《浮世忍びくどき歌》のプログラムノートです↓
日本の言葉ならではの歌を作曲することについて、声明や能、落語などとの貴重なコラボレーションの経験を通し考え続けている。《浮世忍びくどき歌》は、歌と三味線の関係性をバリトンとチューバで翻訳するように作曲された。端唄や三味線組歌などを聴くと、ここに三味線が入り、歌がこう入ってくる…なぜだろうと、未だ腑に落ちないことが時々あり、それを少しでも解明したいと思った。テキストには江戸初期の流行歌謡を集めた『淋敷座之慰(さびしきざのなぐさみ)』から「忍びくどき木やり」を用いた。囃子言葉や擬音が多く出てくるのが面白い。毎小節のように拍子が変化し、バリトンには度々四分音が指定されるという複雑さだが、微妙な抑揚やふしの揺らぎを表現するためで、あくまでも自然に流れて聴こえるよう気を配った。同時期に並行して、隆達小歌をテキストとした作品(こちらでも松平さんにお世話になります)が作曲されていて、相互に関連している。




低音デュオ第11回演奏会
ギヨーム・ド・マショー:ご婦人よ、見つめないで
ペロタン:祝福されたる子よ
山根明季子:水玉コレクションNo.12 (2011)
近藤 譲:花橘 3つの対位法的歌と2つの間奏 (2013)
桑原ゆう:浮世忍びくどき歌 (2019 委嘱初演)
小出稚子:寿老人 福禄寿 (2019 委嘱初演)
福井とも子:doublet IV (2019 委嘱初演)
杉山洋一:バンショワ「かなしみにくれる女のように」による「断片、変奏と再構築」(2014)
新美桂子:砂漠の足踏みミシン (2019 委嘱初演) 詩:新美桂子
2019年4月24日
@杉並公会堂小ホール (東京都杉並区上荻1丁目23-15)
演奏 | 低音デュオ [松平敬 (バリトン)、橋本晋哉 (チューバ)]
teionduo.net
www.facebook.com/events/282068812484584/
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旧ブログ "桑原ゆうの文化的お洒落生活のすすめ"はこちら (現在少しずつ記事を移行中です。)