桑原 ゆう
妙音会Ⅳ
先週末は、すっかり毎年恒例となった、いつもお世話になっている斎藤説成さんのご自坊でのコンサート「妙音会Ⅳ」で、今年も作品を演奏していただきました。
中村華子さん、彩愛玲さんにより、笙とアイリッシュハープのための《塔の曲》改訂版の前半が初演されました。《塔の曲》は「妙音会」の初回で委嘱をいただいて書いた作品ですが、そのときは初演は見送られ、「妙音会Ⅱ」で前半を初演していただきました。まだまだアイディアが展開し尽くせていないと感じ、改訂したい曲リストの中にずっと入っていたのを、今回また演奏していただけることになり、洗いざらい見直して改訂を施しました。
笙の姿かたちが塔がそびえ立っているように見えること、また、ハープも「眠りの森の美女」やフォーレの「塔の中の王妃」などから塔を連想させるので、それらのイメージが合わさって《塔の曲》の構想ができました。曲は笙のちょっと長めのソロから始まるのですが、イメージだけでなく音楽自体が塔の姿をあらわすよう、ひとつの音形を繰り返し重ね合せながら、螺旋を描いて高みにのぼっていきます。それにハープの音形が少しずつ絡み、音楽が展開します。ハープは委嘱をいただいた時点からアイリッシュハープ(レバーハープ)でということでしたので、アイリッシュハープならではの音づかいや奏法を意識して用いています。特に今回多用した音がぐにゅっと曲がるような効果は、ペダルハープでは大袈裟になりすぎてしまうように思うので、レバー操作でこその音づかいかなと思います。
リハーサルを聴いて、螺旋の形がより滑らかになり音楽的にもやっと充実させることができたように感じ、改訂をして本当によかったととても嬉しく思いました。本番はリハーサルやゲネプロに比べて一層音が良く通り、笙とハープのバランスがとても良く、今までで1番の演奏になりました。今回は前半のみの初演でしたが、曲が完成するのにも時間がかかりましたので、演奏もゆっくり完成させていただいて、また全体を初演していただけたらいいなと思います。
毎年楽しみな巫女舞や神楽も面白く、他の現代曲もダンスが入ってとても素敵でした。打ち上げもとても楽しかったです!今年も素晴らしい会をありがとうございました。