船橋 芳信
2019
23
Nov
出発時の顛末!
帰国時の顛末
いくつになっても、おっちょこちょいの性格は直せない。
11月20日、朝、5時40分に、長崎八百屋町の自宅から、大村空港、
ミラノ帰伊へ出発した。最近はミラノへ出稼ぎに行くと、精神的には日本滞在を、
意識するようにしている。イタリアへの出稼ぎは、出稼ぎにはならない程の働きではあるが、
好きな音楽、友人諸氏との交流が、未だにイタリアに留まっている理由かもしれない。
さて、昨夜から、荷物は完璧に準備した。ここまでゆっくりとした荷物準備への手際は
これ迄には無いなとほくそ笑んでいた。大きな旅行バック2個とキャリーバック一個、
手持ちバック一個、沢山の食材、お菓子を山のように詰め込んでの、イタリア行きである。
大村空港に着く、数分前、空港に架かる大村湾の橋上、時計を見る為に左手を上げて左手首を見た。
ある筈のローレックスの腕時計が無い。
忘れた。机の上に出掛ける前に、ピックアップ使用と、充電中のiPhone、も置きっ放しだ。
最悪の事態に、運転している義理の兄に、「電話を忘れた。」と告げた。
横から姉が、「良く鞄の中を見てみたら!」
「無い!、無い!、無い!」
記憶の中に、机の上に置かれて残された時計と充電中のiPhoneが、くっきりと映像に残っている。
「どうする?」
「今から長崎の自宅迄往復しても、飛行機の出発時間には間に合わないよ!」
取り敢えず荷物を車から下ろし、チェックインする事とし、姉夫婦は、一路長崎へと向かった。
事の次第を、カウンターの係員に説明し、ギリギリ迄搭乗を延ばす由伝えて、着くであろう7時40分を
目処に、車の到着場所で待つことにした。
電話を忘れているので、連絡が取れないまま、手探りの状態で、頭の中は混乱していた。
もう、朝夕は寒い。そんな中で、7時40分を過ぎても、着かない。
果たして向かっているのか、諦めて来なかったのか、45分になった時、
「お客さま、いま電話で連絡が入り、大村の高速出口を通過し、向かっているそうです。
ひとまず、御搭乗されて、下さい。機内迄案内いたします。」
出発の3分前、検査を通り抜け、機内に搭乗し、席に座ったのが49分は過ぎていた。
JALのカウンター係員が機内に小走りで駆け寄って来られた。
「届きました。お疲れさまでした。」
「ウワー、軌跡です。有難うございました。」
その係員を、嬉しさのあまり抱きしめたくなる程、安堵感は身体一杯に出ていたのか、
彼女の、成し遂げられた結果への満足感は、はち切れんばかりに微笑んでいた。
正に奇跡のiPhone、リターン劇であった。
不注意が招いた、迷惑への反省と、早朝、2度も長崎大村を往復してくれた姉夫婦の好意へ
頭が下がる思いで一杯の不祥事だった。