船橋 芳信
エレクトリックコマースEC!

昨今、インターネット上での市場が拡大している。
衣服を買う立場にあって、サイズに目をつぶって買えるものだろうかと、EC販売の売上上昇を見ていると、
不思議に思ってしまう。作る立場の側に立ってみると様々な疑問が、湧いてくる。
まず、プライスがクリアー出来ない。そんな安い価格で作れるのだろうか?
生地は、いかに安いものを手に入れるか、そして縫製は、安い海外でのシフトを考えなければ、、、
縫製での手の込んだデザインは、削除。パターンは、簡略化した直線裁ち、こんな制約の下で作れるものは、
T−シャツ、ゴム入りパンツぐらいのものだろうかと高を括っていたところ、何でもスーツでの販売を手掛けるメーカーが、
出て来たと云う。既存のスーツメーカーのスーツは、3万円前後である。因みにオーダーメイドハンド仕上げとなると
生地の選択にも依るが、25万円から60万円は支払い覚悟は必要だろう。
この価格の差には、何があるのだろうか。作る側からすると、服作りへの細かい気配り、縫製技術、フィッティング感覚
素材への配慮、各種裏地芯地副資材への知識と使用解釈能力、服装に関する強いこだわりは、
職人そのものの人格へと昇華している。
謂わば、3万円で作るあらゆる部分での穴の空いた服には、目も向けないであろう。
インターネット上のビジネスの存在理由はと言えば、システムの構築に依るお金儲けとなる。
この動機は、服作りのこだわりとは一線を画し、いや寧ろ、そのこだわりは、排除しなければ、
ビジネスシステムの構築は不可能であろう。
スリーディメンションカメラでの採寸は、 個人の採寸を単純化し、正確なデータを取得できる。
このデータをキャドに送り込んでパターンシステムを起動し、僅か数分で、パターンを作り出せる。
3Dキャメラのデータを、コンピュウター画面に映し出すと、モデルの人体が出現する。
その身体に、キャドに依るパターンを、生地データ、素材、組織、重さを設定し、人体に貼付けて行く。
人体は着せられた服で、右左前後に動くことが出来る。
その動きの中で、修正箇所を見つけ、パターン修正をし
自動裁断機が、キャドと直結すると、ほぼ同時に裁断済の生地が、出現する。
あとは縫製だけで、ほぼ、パターンオーダーに依るスーツが出来上がってくる。
此処まで、完璧にやれば、サイズの問題は、クリアー出来る。
この方法で、EC、インターネット上での販売は、精度差が増すだけに、可能性はある。
投資とシステム化には、数億円の費用は、かかるだろう。
マスでのカスタムオーダーの可能性は、コンピューター、キャドの躍進で手の届く範囲には、入ってきた。