船橋 芳信

2018 26 Jun

坐禅講習会

坐禅講習会にブリュッセル、サンチュベールにある、修道院まで出掛けた。

修道院では、寝食を共にする。朝、五時半起床。六時半から坐禅が始まる。

今年の参加者は、17名、欧州各国からの参加者で、日本人は4名だ。

講師は京都大徳寺真珠庵の山田和尚さま、茶道の先生は元裏千家

イタリア代表の野尻先生である。

 

坐禅はいきなり始まった。般若心経を全員で唱名する。

山田和尚の般若心経を読経する声の太さ、響き、息、に圧倒されながら、追随する。

足は半跏趺坐、右足の踵を左足の太ももに乗せる。両膝を床に付け、

お尻には、座布団を二枚敷いて高くする。

顎を引いて目は半眼、3m先に視点を置いて、耳は両肩の上に位置し、鼻はお臍の上

下腹部を突き出し、腰を入れる。

 鼻から空気を入れ鼻から空気を出す。呼吸は静かにゆっくり深く吸う。一と数える。

吸いきったらゆっくり鼻から息を出す。吐ききったら又鼻から息を吸う。二と数える。

鼻からゆっくりと息を吸う。出来るだけゆっくり吸う。吸えるだけ吸う。お腹、下腹部に力を膨らます。

ゆっくりお腹の力で、鼻から息をゆっくり出す。絞り出す程息を出し切る。三と数を数え鼻から息を吸う。

この呼吸法を足を組んで延々とやる。足の痛さに耐えられなくなると心は折れそうになる。

心が折れそうになると益々足の痛みは耐えられそうになくなって来る。

大丈夫だろうか?この先保つだろうか?不安が頭を横切って行く。

目の前を、和尚が警策を持って、過ぎる。其の直前、合掌し警策をお願いする。

頭を下げ警策を打たれる。別の緊張が走り、心が折れそうになった足の痛みが何処かえ消え、

呼吸に集中する。10まで数えると、又一に戻り、吸っては吐き、吐いては吸うを延々と繰り返す。

 蠅が舞う。顔の周りを蠅が舞う。顔に止まると手を挙げて追っ払いたくなる。

誰かが、手を動かし蠅を払いのけた。

「動くな!蠅ごときに気を散らすな!集中しろ!」

雷が頭に落ちるがごとき、凄い声で、和尚が活!を入れた。

静寂が、場を覆う。ひたすら呼吸をする。10回の呼吸を約6セットに辿り着く頃、

チーンと言う終わりを告げる鐘が鳴らされる。

経行、「ケイヒン」立ち上がりお腹に手を当て、息を吐き吸い、呼吸を整えながら、歩く。

10分程修道院の中庭を歩き回り、戻って、又座る。

朝の6時半から、夕方6時半まで座っては呼吸に集中する。

ただ、息を吸って、吐いて呼吸数を一から十まで数えて、又戻りと言う単純な行動なだけである。

コレが大変難しい。何も考えないと言う事も難しい。ひたすら吸って吐いてを数えて、又戻り数えるだけである。

2日間の座禅の講習会が終わった時、心が折れそうになった事、足が痛くて耐えれなくなった事、数を数えられなく

混乱した事、呼吸を深く静かに、永くする事に集中して、何度か満足を覚えた事、呼吸だけに使った時間、

この二日間、自分の為だけに使った二日間、いかに貴重な体験だったのかと、野尻先生、山田和尚に感謝の念を深く覚えた。