船橋 芳信

2019 20 Sep

感動と反復志向

感動と反復志向

 
先日、魚料理のイタリアンレストランに行った。
7月の中旬にも、日本からの出張者達とご一緒したレストランだ。
前回の3人での食事は、アンティパスト、プリモピアット、セコンドピアット、デザート、と
すこぶるバランス良く大変美味しく、感動してしまったので、再度同じお店にと言う要望のまま、
予約をして、来た。
 サルデニア料理のお店である。
ドライの白ワイン、ガス入のお水、を頼んだ。
テーブルには、パーネ・カラザウ、(薄焼きのパン)フォカッチャ、が置いてある。
空腹の眼には、自然と手が伸びる。食べ過ぎないようと、言い聞かせながらも、
手は容赦なく伸びて行く。
カリカリのカラザウは、香ばしくて美味しい。
 3人ながら、一皿づつは流石に量が多いので、アンティパスト2皿でシェアー、
白魚のハンバーグと蛸のボイル、プリモパスタはカサゴ(Scorfano)のパッケリ、とカラスミのフジッリ(Fusilli),
二皿を頼んで、三人でシェアー、辛口のサルデーニャの白ワインを口に含んで、パスタを食べ終わると、
パーネ・カラザウを食べ過ぎたのか、お腹は、一杯になってしまった。
 前回感動したデザートの為に、メインディッシュは一皿にしようと、エビ、イカ、白魚、ズッキーニ、
のミックスフライを頼んだ。
ミックスフライは、香ばしくてこれ又別腹、オリ-ブオイルで揚げた、エビ、イカ、お腹の満腹度は無視されて、
口、舌の味覚への欲は、限り無く、食べ続けてしまう。
 さて、いよいよ、セアダス、サルデーニャ料理のデザートだ。
ペコリーノチーズを小麦粉の生地で包んで、オリ-ブオイルで揚げ、蜂蜜をかけた、セアダス登場。
一口、食べる。
美味しい。
あれっ!こんな味だったかな!
前回の感動は、伴わない!
 三人とも、どうしたんだろうかと不可思議な顔をして見合わせる。
 確かに味は何も変わってない。あの時の味には、間違いはない。
不味くもない。美味しい。
しかしあの時の唸るような、感動が伴ってこない。
何故だ!
食後の感想は、延々と何であの時の感動がなかったのか、今回は!
と言う分析に、テーブル上で、言葉が飛び交う。
 そもそも、感動する事を期待しては駄目だ。
 感動は、思わぬ偶然が、もたらすものだ。
 音楽の感動は、絵画の感動は、生活への感動は、人生への感動は、
感動は反復しないものだと、サルデーニャ料理、デザートセアダスは、美味しく、物語ってくれた。