船橋 芳信
アトリエコンサート、第3回、東京版
先日、第3回アトリエコンサート、東京版が、開催された。
大都会東京の片隅、小さなサルトリア、洋服屋のアトリエに、 セミグランドピアノを入れて小さな小さな演奏会を開催している。 毎月一回の演奏会に、40名のお客様が、この小さなコンサートに 音楽とのコミュニケーションを楽しみに参加される。 ところがこのコンサート、演奏する側に取っても、 あながち小さなコンサートと、甘くは捉えられない。 それは演奏会場の雰囲気、小さな狭い会場での演奏の状況に関わっている。 演奏者の聴衆とのことコミュニケーションは、誤魔化しようがないほど 近接している。歌手の呼吸は、手にとるように、聴衆に伝わる。 この緊張感は、思わぬ相乗効果を生み、演奏会に聴衆の存在感が加わって、 小さな音楽との交流に、演奏者も聴衆も満足感に満たされて行く。 演奏家にとっても実験的な多くの事を課題として試せる場でもある。 ソプラノのアヴェマリア、テナーのシューベルトのアヴェマリア、 ピアノ演奏によるマスカーニのカヴァレリアルスティカーナの間奏曲、 アヴェマリアは、どれも丁寧で、じっくりとしっかりと聴衆を捉え、 聴衆もその音楽の中に深く溶け込んでいた。 素晴らしい演奏会に多くの拍手を送り続けていた。