芹澤 絵美

2021 17 Jul

ヴァーティカル・ワイン・テイスティング

 

先日、私たちチームが管理している畑の1つ、
View East Vineyardから作り出されたワイン10年分を試飲するという、
ヴァーティカル・ワイン・テイスティングを行いました。

私はこのヴァーティカルな試飲が大好きです。
品種も畑もワインメーカーもヴィンテージも違うワインをいろいろ飲むよりも、
同じ畑でヴィンテージ違い、同じワインメーカー同じヴィンテージで畑違い、
など、ある同一の条件下の中で、僅かな違いを感じていく試飲が最近気に入っています。


今回は、なかなかに興味深い試飲会となりました。


View East Vineyardの2010年〜2020年までのヴィンテージが並べられ、
ヴィンヤード・スタッフ、ワインメーカー、他のヴィンヤードで働く人々、酒造会社のオーナーなどが集まりみなで試飲しました。

View East Vineyardは、2010年以前からもワインは作っていますが、
私の勤めている会社が管理を委託されたのが2010年〜なので、
2010-2020までのワインが集められテイスティングすることになったようです。

View East Vineyardはこの11年間の間にワイン・メーカーが3回変わっています。

2013年までは、View East Wineとしてワインを作っていましたが、



2014年は、Master of Wineのサム・ハロップ氏がView Eastのブドウを買い取りワインを作り、
2015年は不明、
2016年〜現在までは、Postage Stampという会社がブドウを買い取り、2019年まではGoldiesワイナリーのワインメーカーがメイキングをし、2020年はGoldiesとObsidianワイナリーのワインメーカーが共同でワインメイキングをしました。

<*View East Vineyardは数年前から売りに出されています。詳細はこちら。>

2011年と2015年のワインが入手出来なかったようですが、
それ以外の10本(2020年は2種類)すべて試飲することが出来ました。


View East Vineyardのワインは全てシラー100%です。
私は、まだリリース前で、樽から出したばかりの2020年から遡って試飲しました。
2020年だけは、Reserveとスタンダードの2本ありました。


 

私の判断基準は単純です。
美味しく楽しんで飲めるか、自分で買いたいか、だけです。

結論から書きますと、
2020年のReserveは、私が知っているニュージーランドのシラーとは明らかに異なるワインで、
豊かな果実味と、まだ長い眠りについてない、鮮やかに花開いている素晴らしいワインでした。
ボトリングして1年後くらいにまた試飲してみたいですが、おそらく「買い」です。

2020年スタンダードと、2019〜2016までは安定のニュージーランド・シラーで、想像していた通りの味でした。
2014年は、とても変わった味。おそらくView East Vineyard以外のブドウも混ざっている複雑な味でした。
2013年と2012年は、年月を重ねただけの味わいがあり、もう購入することは出来ないですが、このワインに出会っていればきっと購入していただろうという、印象に残るワインでした。
2010年は、印象に残りにくい不思議な味でした。オーキーで苦みが強かったように思います。


今回は、同じ畑のブドウでありながら、
4人のワインメーカーがそれぞれ趣向を凝らしたメイキングで作ったワインが揃い、
本当に貴重な体験が出来て楽しかったです。
ブドウも、10年前と今ではフルーツの味が違ってきているでしょうし、
まさに一期一会というか、その時にしか作ることが出来ない、出会えない、
ワインというお酒の魅力を存分に味わうことが出来ました。

私が働いているヴィンヤード・マネージをする会社は、
全部で12箇所の畑を管理していて、それぞれ畑のオーナーは別々で、
そこから4つのワイン会社と2つの個人所有から作られるワインがあるので、
それぞれブドウの味と出来上がったワインの味を比較することが出来、とっても勉強になります。


さて、2022年はどんなブドウになるでしょうか。
天候に恵まれ、最高のブドウとワインが出来ますように。



<広大なヴィンヤードを駆け回りすぎて眠り落ちる愛犬ヒメ>