芹澤 絵美

2020 13 Aug

ニュージーランド無菌室伝説


ニュージーランドでは、
昨日水曜日の正午からオークランドのみ2度目のロックダウンに入りました。
火曜日に4人のCOVID-19陽性者が見つかった為です。
暫定的に金曜日の深夜0:00までとされていますが、
延長される可能性も示唆されており、最悪のケースだと7週間のロックダウンが予想されています。

たった4人でいきなりロックダウン?!と思いましたが、
ニュージーランドは、基本的に鎖国政策を採っており、
ニュージランド国内に入れるのは国籍か永住権保持者の帰国者のみです。
その帰国者も、空港でのPCR検査と、例え陰性でも2週間の隔離が義務づけられており、
これら隔離施設で過ごす帰国者の中には陽性者はそれなりの数がおり、
陰性結果が得られるまで隔離されます。

なので、この隔離施設の中の陽性者は国内の感染者数としてはカウントされていません。
その国内の感染者がゼロとなってから100日が経過し、
もう誰もが国内にはCOVID-19ウィルスは無く、
このまま鎖国を続けて、海外からの帰国者に気をつければ大丈夫だ、
そして、その為に政府が構築したシステムは完璧だと信じていました。

いわば、完璧でクリーンな大きな無菌室に人々は住んでいると思っていたのです。

それが、今回の4名の陽性者は、
隔離施設の帰国者とまったく接点が無い、
感染源が不明の市中感染で起きたので、ただちに追跡を開始する為に、
いったん人々の移動を禁止するべくオークランドのみロックダウンとなりました。

水曜日の数百名に対しての追跡と検査で、
現時点で36名が陽性、1名が入院中です。

この家族は先週ロトルアに旅行に行っており、
メディアでは、彼らの足取りが下記のように事細かに明かされ、
同日同時間に同じ場所に居た人にPCR検査を積極適に受けるように呼びかけています。

• Wai Ora Lakeside Hotel on Saturday August 8 from 3.30pm until Tuesday August 11 at 9am.
• Herbs & Spices Thai Restaurant on Saturday August 8 from 8pm to 9pm.
• The Fat Dog cafe on Sunday, August 9 between 1.30pm and 2.30pm.
• Pak'nSave Rotorua on Sunday August 9 from 2.30pm to 3pm.
• Skyline Rotorua on Sunday August 9 from 4pm to 5:50pm.
• Made a day trip down to Taupō for a sailing trip from 8am.
• Don Kebab on Monday August 10 from 7pm to 7:30pm.
• Burger Fuel Redwoods on August 10 between 7pm and 8pm.

あれよあれよと起きた事態に、
国民はただただ唖然とし指示に従っていますが、
冷静に考えると、この対応はまるで共産主義国のようにプライベートが無視され、
ほとんど罪人扱いに私には見えます。
家族はウィルスを運んだテロリストのような見え方です。
ただ普通に家族旅行を楽しんだだけなのに。

今回のオークランドの突然のロックダウンで、
数千件の宿泊施設のキャンセルが発生し、
正午からロックダウンと言われていたので、
急いでオークランドに戻る、あるいはオークランドから出よううとしていた車のうち、
正午を過ぎてしまったエッセンシャルワーカーを除く車輌全てが、
オークランドに繋がる全ての道の検問でUターンさせられました。


ロックダウンしかり、この追跡システムしかり、
国民の主権を軽視したこれら行為は行きすぎなのでは無いかと思い始めています。
これがエボラウィルスだったら収束するまでロックダウンすれば良いですが、
COVという、どう言い換えても風邪としか言いようのないヒトコロナウィルスに、
ここまでする必要があるのか?
 

ニュージーランドではインフルエンザで毎年数百人亡くなりますが、
ワクチンがあるというだけでインフルエンザは他人に移したい放題です。
ワクチンが無くても半年で死者数22人というこのウィルスにだけ、
このような過剰と思える国民主権を制限した対策に疑問を感じてしまいます。

最初のロックダウンで感染者が一度ゼロになり、
今でも国境を閉じ続け、入国者を完璧に隔離し、国民にPCR検査を推奨し、
感染者ゼロが100日続いても、
COVID-19は国内から無くなっていないことが今回証明されました。
システムにどこか決定的な穴があったのか、
それとも通常のヒトコロナウィルスのように人類社会に定住したのでしょうか?
それならば、ロックダウンをもう一度する目的と効果を見直す必要があると思います。

KPI(Key Performance Indicatorの略称。重要目標達成指標)という言葉がありますが、
ウィルスの専門家、医療関係者、政治家、
それぞれ最優先課題が異なり、KPIはすべて違っています。

ニュージーランドの現在のウィルス対策は、
ウィルス対策専門家のKPIに引っ張られすぎのように思えます。
​​​​感染者をゼロにするのはウィルス対策専門家のKPIであって政治家のKPIではありません。

政治家は国民全体の幸福を法案でもって実現させていくのが仕事です。
そこには当然、自由な経済活動や行動の確約が含まれており、
専門家の意見を聞きながらウィルス対策とバランスを取っていく必要があります。

私は基本国策には従いますし、現政権の政策は評価していますが、
このブログでも何度も書いてきたとおり、
このウィルスに対してロックダウンするのは以前から反対でしたし、100%同意していません。
決められたことだから従っているまでです。
けれど、このまま1度目のロックダウンのような長期的なロックダウンをするようであれば、
野党の対案次第では、政権交代を望みます。

次の選挙は9月5日。
国民がいま一番何を望んでいるのかを察知し、
政治家のKPIでもってそれを達成してほしいです。

私は、多くの国民はロックダウンを望んでいないと勝手に思っていますが、
それは選挙結果を見てみないと分かりませんね。