芹澤 絵美
ブルーディ

ゴルゴルちゃんがブルーディになったので、
彼女に有精卵を6個与えました。
ブルーディというのは、
雌鳥が定期的にかかる”卵を温めたくなる症候群”のことで、
雌鳥がこうなると、卵は産んでないのに産卵箱から離れようとせず、
一日中出てこなくなる現象です。
家畜としての雌鳥は、
卵を産んでもらうことが主な目的なので、
抱卵や子育てが出来る雌鳥が実は少なく、
このブルーディになった雌鳥は神様からの贈り物とも言われています。
ブルーディになったとしても、
集中力の無い雌鳥は、他の雌鳥が来るとソワソワしたり、
他の誘惑、例えば1日に1度与えられるオヤツなど、
そういうときに卵を放り出して巣箱から出てきてしまう時もあります。
グッド・マザーは、瞑想の境地で、
物音がしても、巣箱が揺れても、大雨が降っても、
目の前でオヤツが撒かれても、絶対に卵から離れない集中力を持っています。
そういう真のブルーディ・ヘンが出現したら、
有精卵を温めて孵してもらうチャンスです。
今回はゴルゴルちゃんが3年目にして初めて素晴らしい集中力を見せたので、
すぐに有精卵を手配して体の下に入れてあげました。
孵化予定日は1月4日です。
機械を使わず、雌鳥に温めてもらって孵ったヒヨコ達は、
その後も人間の手を借りず、母親からすべてのルールや成り立ちを学んで育ちます。
そうして自然のフィールドで育った鶏は、
機械で孵化し狭いケージで育った鶏よりも行動力や体力があり、
生きる気力に満ちた美しく健康な鶏に育ちます。
若い雌鳥を購入し、うちのフリーレンジに離すと、
彼らの行動の仕方で、それまでどういう環境で育ってきたかがすぐに分かります。
育つ環境がいかに違った結果をもたらすか、
鶏を通じて勉強になりました。
