芹澤 絵美

2018 18 Sep

バード・レスキュー

先週の日曜日、
ヒメの散歩にいつものスポーツパークに行くと、
少し離れたところの湿地でネイティブバードのPUKEKO(プケコ)が、
何かを追い回しているのが見えました。

PUKEKOはダックリング(ダックの赤ちゃん)を襲うことがあるので、
近くに見に行きました。

すると、泥に4羽のチックがうずくまっていました。
近くに親鳥は居なく、何羽かはプルプルと震えています。

クチバシの形、足の長さから推測するに、
数週間前に見つけたPLOVER(プローバー)の卵から孵化したチックだと思いました。

このままだと生き延びられないと思い、4羽を家に連れて帰りました。
後になってこの判断を後悔することに・・・・。

バスケットに紙を敷き詰め、
ウールのレッグウォーマーにホッカイロを入れた物で暖を与えました。

以前ツグミの雛を育てた時のように、
スポイトを使った給餌をしようと思いましたが、
クチバシの形状が親鳥からエサをもらうために大きく開く雛と違っています。

これはもしや・・・と思い、
PLOVERの生態をインターネットで調べました。

PLOVERの雛は、生まれた2〜3時間後には、
両親の指導のもと、自分でエサを取り始めます。
大きさが小さいだけで、両親とほぼ同じものを食べます。

ならば、と思い、
生きているミミズを目の前に起きましたが、まったく反応せず・・・・。
それどころか、すぐに座り込んで頭を垂れてしまいます。

このままでは体力が落ちてしまうと思い、
ミミズを刻み、口の中に無理矢理入れました。
あとは、ニワトリ用の乾燥ミールワームを砕きスポイトで流し込みました。

もっと情報が必要だと思い更に調べると、
どうやら湿地から連れてきてしまったこと自体が間違いだったようで・・・。

PLOVERの親鳥は、人間や犬などの敵が現れると、
チックからわざと離れて敵を自分に引きつけようとする習性があり、
その間チック達は親鳥からの合図があるまでじっと動かずにいるようです。

このことから判断するに、
まさにそうやって隠れている時に私に見つかり、
私が間違って判断し連れてきてしまったようなのです。。。

翌月曜日、チック達をカゴにいれて湿地に連れて行きました。
いつもPLOVERがいるあたりに行きましたが、
遠くで鳴き声は聞こえるものの姿は見えませんでした。

チックを置いて待つこと1時間、
ようやく3羽のPLOVERが姿を現しましたが彼らは親鳥ではありません。
おそらく去年生まれた若いPLOVERです。
さらに30分ほどすると、
2羽のPLOVERが現れ、私たちの上空を旋回し始め、
けたたましく鳴いています。
チック達もそれに応えるように声を出し始めました。

私はすぐにチック達の側から100mほど離れました。
旋回していたPLOVERはチックから30mほど離れたところに着地し、
地面の上を歩いて慎重にチック達のほうへと近づいていきました。

チックは小さく迷彩柄なので、
私が居たところからは、はっきりと彼らが接触できたかどうかは分からなかったけれど、また近づけば親鳥は離れるだろうし、あとはもう彼らが親鳥だったと願うしかありません。

特に知識のない野生動物に近づいて、
安易な保護精神を発動させたせいで逆に雛を危険にさらしたかもしれません。

雛に人間の匂いがついてしまうと親鳥は危険を避ける為に巣に戻らない鳥もいます。
PLOVERは営巣する鳥ではないので大丈夫だと思いますが、
はっきりとしたことは言えません。

あの時PUKEKOに襲われていたとしても、
育てる目処の立たない生態がよく分からない野鳥は、
自然淘汰として人間は手を出さないほうがいいのかも、と思いました。

ダックと営巣性の鳥は育て上げる自信がありますが、
それ以外の鳥の場合は、遠くから見守るだけにしようと決めた経験でした。