芹澤 絵美
偽物のマヌカハニー
ニュージーランドの特産品にマヌカ・ハニーがあります。
マヌカはニュージーンラドのネイティブ・ティー・ツリーで、
マヌカの木で生産されるハニーの量は年間で1,700トンと言われています。
日刊ニュージーライフの記事によると、
そのなかで、UMF10+以上の医療効果がある「アクティブ・マヌカハニー」はたったの2割しかないそうです。
それなのに、全世界で売られているマヌカハニーの量は年間で10,000トンにも及びます。
つまり83%はニュージーランド産でないことになります。
ニュージーランドから苗木を持ち出し各国で栽培されてそこから採れたハチミツをマヌカ・ハニーと呼んでいるようです。
ニュージーランドの農業大臣の発表によると、
マヌカ・ハニーをニュージーランドの特産品として守る為に、
今後マヌカハニーは4つの成分検査と、1つのDNA検査を行うそうです。
そしてその検査を通ったものだけがニュージーランド認定のマヌカハニーとして海外に出荷されるようにするとのことです。
けれど私的にはそれでは不十分で、
「マヌカ・ハニー」という名前の使用にも制限をかけるべきだと思います。
「マヌカ」というのはマオリ語なので、
ニュージーランド以外で作られたティーツリーのハニーは、マヌカハニーとは言えないと宣伝するか、国際的な商標登録をしたらいいと思います。
シャンパーニュ地方で生産されたスパークリング・ワインだけがシャンパンと呼べるのと同じように、ニュージーランドのマヌカから採れたハチミツだけがマヌカハニーと呼べる、と広く一般に知れ渡るように広報活動する必要があります。
私は今後、Made in New Zealandでないのであれば、
「It's not " Manuka Honey", Just " Tea tree honey or something honey" (それはマヌカハニーじゃない、ただのティーツリーハニーかそれ以外のハニー)」と言うことにします。
もちろんニュージーランド産でも、外資系の新興企業でマヌカ・ハニーと謳って成分的にはマヌカから採れていないハチミツを売っている人々もいるので、消費者はその会社の歴史と信頼性をきちんと調べる必要があります。
私はよく、「ハチは花を選り分けない」と説明するのですが、
ハチは美味しいネクターがあればどの花の蜜でも集めます。
ハチにマヌカの花からだけ蜜を集めてくるように調教は出来ないのです。
なので実際には、半径2km以上にわたってすべてマヌカの木で埋め尽くされていて、かつタンポポなど地表に生えるすべての野草や雑草の花を駆除しないかぎり、ハチの集めてきた蜜が100%マヌカと言い切るのは不可能なのです。
ニュージーランドの広大なマヌカの森でさえも100%は難しいので、
ここ数年ニュージーランド産ティーツリーの苗木を植えただけの他国で採れるハチミツには、他の花の蜜が多く混ざっているのが現実なのではないかと思います。
けれど、こういう真実は時にオルタネイティブ・ファクトを元にした巧妙な宣伝広告によって隠され、消費者に伝わりにくくなります。
オリジナル原産国であるにも関わらず、ニュージーランドという国はブランディングがあまり得意ではないので今後ちょっと心配です。
でも、SNSなどで情報が伝わるのが早い時代なので、こだわりのある人はこの事実を知ってきちんとしたモノ選びが出来ると信じたいと思います。
もちろんニュージーランド産以外でUMF10+以上に相当する良質なティーツリー・ハニーであれば、名前は違っても効能は同じなので、消費者の選択肢が広がることに異論はありません。
そしてそれらは正しい競合品であり、ニュージーランド産にとっても更なる品質向上を目指す良いライバルになると思います。