山中 健

2020 16 Jul

デジタルファッションウィークの優劣

パリファッションウィークの公式サイト

ご存知ない方も多いかもしれませんが、ただいま、デジタルファッションウィーク真っ只中です。そして私はStay Homeでリモート取材中です。

 

ロンドンから始まり、パリオートクチュール、パリメンズと続き今はミラノです。この4つのファッションウィークですが、やはりそれぞれの時期、お国柄によって優劣はついています。

 

ロンドンは2020年6月12日から14日に開催。ほぼロックダウン中での開催でしたから、新作コレクションはもちろんコンテンツの作り込みさえも難しい状況。そのため、デザイナーのメッセージ発信ビデオ、チャットでのQ&Aなどが多く、その内容もファッションというより社会問題についてであって、ファッションウィークの役割は果たせていませんでした。

 

 パリオートクチュールは2020年7月6日から9日でしたので、コンテンツの作りこみができていましたが、オートクチュールという性格上、服を見せるというより世界観で魅せるという感じでした。ファッションウィークというよりイメージムービーを見る感じで、これも従来のファッションウィークのような情報収集には物足りません。顧客もどのくらい見たのか疑問に思うものが多かったのが事実です。

 

 パリメンズは、これぞファッションウィークのDXという感じでした。気鋭や新進が、無観客ショーやコレクションを身にまとったモデルが現れるデジタルプレゼンテーションを行い、その直後にルック画像がチェックできる。情報収集もファッションへの憧憬も感じることができました。またファッションウィークの公式サイトも充実。スケジュール表からそのままコンテンツを開くことができ、ライブだけでなくリピートで再生できる点も、時差のある国からコレクションを楽しめることができています。こちらについてはレポートを書いていますので、ご一読ください。

 

 そして、現在開いているミラノ。2021春夏メンズコレクションをベースに、プレコレクションやウィメンズコレクションも発表。「ドルチェ&ガッバーナ」や「エトロ」などリアルでのショーもやり、そしてブランドによってはデジタルショールームとのリンクもやっており、各ブランドの取り組みもより本格的になっています。ただ、ファッションウィークの公式サイトがかなり残念。デザインに凝ったせいかレイアウトは悪く、ライブ推し。時差のある国に住む私からすると見る気が失せて、その後アクセスする気もしません。各国の大手新聞とストリーミング提携してローカル対応をしていますが、そのサイトも情報が限定的でユーザビリティが悪く何度か見ただけです。時差があるのにストリーミングだけというのは意味不明です。パリのようにファッションウィーク公式サイトを充実させ、プロ・一般ともにUXの満足度(見やすいレイアウト、フリーズしない、遅れない)を上げ取り組みをするべきだったのではと思います。

  9月に開催されるNYFWのデジタル表現はどのようになるのでしょうか。世界で初めてファッションウィークを行ったNYだけに期待したいところです。

 

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