内田 文雄
スポーツブランド出身者が台頭する中国アパレル!
ここ5-6年の中国アパレルブランドは、売上の浮き沈みも激しいせいか、更にコロナが追い討ちをかけ幹部クラスの流動、更に良い条件の企業への転職が激しさを増している感があります。
以前だと同業からの転職が目立っていました。例えばレディスブランドなら他のレディスブランドから、メンズならメンズブランドから、キッズも同様でした。一口にアパレルと言ってもレディス、メンズ、キッズの垣根を越えての転職はあまり聞きませんでした。
ところが最近弊社クライアントだけを見ても、その垣根を大きく越えて異業種(広義では同じかも知れませんが)のスポーツブランドからアパレルブランドに転職する人達が増えています。
その中でも圧倒的に多いのがNIKE出身者、次にadidas、国内ブランドだとANTA、LINING...と続きます。NIKEでも本国アメリカ本社で幹部だった台湾人女性が、或る中国カジュアル大手の総裁になったりと、様々です。
特に加盟店を管理する営業系の人材がアパレルブランドに多く流れています。スポーツブランドも多くの加盟店戦略を取っているので、業種を越えても加盟店管理などやるべきことに大きく差がないのだと思われます。
次に多いのがMARKETING系人材、スポーツブランドはグローバル、国内ブランド問わず素材開発を主にプロモーションすることに長けていて、アパレルでも同様のことを行うことができます。
素材開発で言えば生産SCM系のスポーツブランド出身者もたまに見ます。これこそアパレルの素材、原料開発、調達に精通していることと、アパレル各社がユニクロを事例として機能性素材を打ち出したいことも合いまって、スポーツブランド生産出身の人材がアパレルでも活躍できるのでしょう。
弊社クライアントのSkechers旗艦店
中国No. 1スポーツブランドANTA
逆にあまり見かけないのが私がずっとやってきているVMD系なんです。アパレルからアパレル、もしくはアパレル系から雑貨系に転職する人は多くいますが、スポーツブランドVMDは同じスポーツブランドに転職する傾向が強いようです。
中国のスポーツブランドのカテゴリーは、主にシューズ、キャップ、ギャップなどの雑貨小物、そして最後にウェア類です。各カテゴリーの単品管理や、プロモーショョンごとに変えるウィンドーディスプレーがVMDとしての主な業務となります。
一方のアパレルはウェアがほとんどで、スタイリング重視、つまり売場のレイアウト、フェイシングスキルが求められます。ファッション情報を熟知し、より細かな陳列スキルも必要となる為、スポーツブランドからの転職者は少ないと思います。しかし、ここ数年アパレルとスポーツの垣根がなくなりつつある中で、近い将来アパレルのVMD領域でもスポーツブランド出身者が活躍することでしょう。
それでは!