内田 文雄

2019 08 Jun

街は商業施設からストリートへ!

中国国内出張が多くたまにしかいない上海。だからこそ上海の街の変化を感じるために、寸暇を惜しんで街を歩き自ら体感するのが常となっています。

 

ここ数ヶ月で感じる上海の街の変化は?

①客層ターゲットを絞った施設増

②街の裏通り(ストリート)に物販が集合した小さな施設増

③飲食を充実させた施設増

 

以上の3点が見て取れます。

①は淮海路の新天地近くにあった太平洋百貨が昨年躯体は残しながらも、吹き抜けを作ったり、外部にエスカを増設したりと大幅リニューアルし、「新天地広場」と名称も変えてオープンしました。

 

客層を20代ー30代の女性に絞り、彼女達に受けそうなカフェ、スゥィーツ店(中国初ローンチ含め)、雑貨、料理教室、本屋...などを集積させて話題をさらっています。当然ながらインスタ映え(中国ではインスタは使えないので、wechat映え)するために、館内の雰囲気、女性トイレの充実など撮影ポイントを多く作っています。

 

今流行りのライフスタイル型施設を、更に女性ターゲットに絞って集客をするといった、ある意味実験施設だと思います。

 

②は最近上海市内中心部の古い町並みの裏通りに続々とできている、小さな施設です。以前は古い民家だったところを壊し、新たに3-4層の建物を作り、カフェなどの飲食店、アパレル、雑貨店が集積しています。

 

代表的なものとして巨鹿路にある「JULU|758」や、安福路×武康路にある施設が挙げられます。共にカフェ、スゥィーツを軸にしつつ、他の大型商業施設には入っていない、独自性のある雑貨、アパレルが入っていること。またオープンエアー、つまり戸外でその季節季節の空気を感じられるアトモスフェアを重要視しています。

客層はローカル男女がほとんどですが、欧米人も多く詰め掛け、その雰囲気はまるで海外にいる光景になっているのも特徴的です。

今もなお上海中心部のあらゆるところで、上述のような街の開発が進んでいます。昔の原宿(裏原)や、中目黒のように小さな個人店から、ブランド店、そして小さな施設と...街が変化するのは、やはりストリート(路面)が起点だと実感します。

 

③はご存知の通り、今は実店舗(モール、百貨店など)でモノが売れ辛い時代になってきています。ECの台頭というのは言わずもがなですが、物販に於いて店舗や施設に特徴が無い、言い換えると何処も同じブランドの品揃え、つまり何処で買っても一緒という同質化が進んでいます。

 

そんな物販のブランド/インテリアイメージ、品揃え、売場VMDの一新ということも重要なのですが、物販は旧態然としたやり方ではNGで、ライフスタイル提案型でないとデベ側から継続契約のOKが出辛いなどの現実問題もあります。

 

話を戻すと、中山公園駅近くに3年ほど前にオープンした「来福士」が集客が増え大きな変化が見えます。近くに龍之夢購物中心というバケモノ施設があるのですが、ここへきて良い客層(収入やセンスが高い)、若年層の消費者は来福士でゆったり買い物や余暇を過ごす傾向になっています。

ここ来福士の特徴は、ガーデンなどの公共空間を多く取っていて心地良いこと、流行りのレストラン、カフェ、スゥィーツ店を別棟6層に集め、ファミリー層、カップル、友達同士で来ても、過ごせることが挙げられます。つまり上述の①とは真逆の施設ということになります。

 

週末や国の祭事の際は様々なイベントが行われていて、客を飽きさせない仕掛けが考えられています。今後も大手の来福士レベルは難しいとしても、飲食に特化したモールや百貨店が増えていくと思います。食は中国人にとって欠かせない重要なことですから。

 

 

それでは!