小島 健輔
世界に広がるジーンズ復活の奔流
ジーンズが世界規模で復活している。リーバイ・ストラウスの売上推移を見れば明白だ。
ピークの96年には71.4億ドルを売り上げて世界最大のアパレルメーカーだったリーバイ・ストラウスも、その後のファッションジーンズの台頭に押されて00年には40.5億ドルまで売上が急落。セレブデニムをピークにファッションジーンズのブームも終焉し、カジュアルウエアの主流がアウトドア&アスレジャーに移って長らく業績が低迷していたが、17年の第1四半期から始まった回復が四半期ごとに加速。第4四半期では12.7%増と二桁に乗り、18年第1四半期は21.9%増、第2四半期も16.7%増と飛ばしている。
最初に回復に転じたのは欧州で16年の第4四半期以降、二桁増収を続けており、18年度第1四半期には40%超の伸びを記録した。アジアも17年度第4四半期以降は二桁の伸びを続けており、リーバイ・ストラウス・ジャパンも17年11月期の5.5%増から今上半期(17年12月〜18年5月)は14.9%増と加速している。
米国でも大手アパレルのPVHが18年1月決算で『デニムの売上が驚異的に回復』と発表、ギャップやアバクロ、アメリカンイーグルも『デニム売上が好調』と発表しており、ジーンズ復活の奔流は世界的な広がりを見せている。
ジーンズ復活と時期を同じくして広がったのが欧米ファストファッションの凋落で、先行して翳り出していたフォーエバー21に続いて17年春にはH&Mも失速、17年の後半にはZARAまで失速し、18年春夏では各社の既存店が二桁減に陥った。08年9月のリーマンショックを契機にグローバルモードなファストファッションがブームとなって各国のローカルファッションが失速。それとともにジーンズも下火になっていったが、8〜9年を経て潮流は逆転し、ジーンズに代表されるローカル&ナチュラルなスタイルに急速に回帰している。
“回帰”と言ってもノームコアとアスレジャーを経た今となってはセレブデニムのようなヒップコンシャスはオワコンで、ゆるく抜けた着こなしとアウトドアやアスレジャーな機能アイテムとのリミックスが要となっている。洗いをかけたりダメージ加工やリメイクデザインを施した緩いジーンズに合繊の高機能アウターを合わせるのが今風に復活したジーニングなのだろう。