小島 健輔

2017 11 Dec

リテラシーの格差

 丸井の青野真博常務は渋谷マルイのAmazon期間限定キャンペーンにあたって『買い物の仕方が変わってきている。ECと共存共栄する店舗を作る。』と発言されたそうだが、時流を適確に認識した“名言”と評価したい。ライバルのはずのAmazonを引き込むビジネスセンスもオープンマインドなリテラシーを評価すべきであろう。
 『何時でも何処でも調べて選んで自在に決済出来て何処でも受け取れるEC』はAIや電子決済の急速な進化で加速度的に便利になっており、『品揃えが物理的に限定され情報と決済方法が限られ、店まで赴いて商品をピッキングして持ち帰る物流労働と時間消費を強いられる店舗販売』は消費の主流を外れつつある。ゆえに、店舗はECのシステムやスキームを取り込んでECと一体化しECと共存共栄する存在として生き残るしかない。それはオムニチャネル化などという次元を超え、『ECが店舗販売を取り込んで(逆とも言える)一体化し店舗販売を“販物一体”の呪縛から解放するショールーム流通革命』に他ならない。Amazonが席巻しウォルマートの社名から「ストアーズ」が消え無人店舗が台頭する現実を直視するなら、至極穏当な認識と言うべきだろう。
 浮ついたオムニチャネル戦略でECとのカニバリを加速し店舗運営を疲弊させた米国の百貨店などをお手本にするピントのずれた経営層が未だ多い中、先の見える経営層はまだ少数派だが、百貨店では丸井と阪急阪神、商業施設デベではパルコと三井不動産、専門店では青山商事が一歩、先行している。それらに比べれば、現場の実情や実務スキームに暗いままイメージだけで結果の出せないスタンドプレイ投資に走る経営陣がいかに多いことか。それは百貨店や商業施設デベ、テナント出店の専門店やアパレルのみならず、POSレジメーカーや情報システム事業者にも言える事だ。
 ECとAIと電子決済は店舗と流通のすべてを一変させていく。『東京オリンピックが開催される頃まで店頭のレジ列が残っているとは到底思えないし、売場に在庫を積んで販売員が声掛けして来る店舗も稀になるだろう』と言ったらピンと来るだろうか。11月29日に開催したSPAC研究会に出席された方なら解ってくれるに違いない。
     
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