小島 健輔
緩いが勝ちの販売結果
先週、木金と開催した月例の「販売データ交換会」を前に秋冬商戦のブランド別売上推移を検証したが、メンズもレディスもフィットで明暗が分かれた。
メンズでは既に壊滅状態のギャル男系/お兄系に加えてスタイリッシュモード系、ユーロカジュアル系などスリムフィットのブランドが落ち込む一方、フィットの緩いカジュアルライフスタイル系やアウトドア系の一角が売上を伸ばし、加工系でも緩めのジーニングブランドは顕著に回復しているがローカルストリート系は沈み込んだままだ。
レディスでもグラマラスなマルキュー系の落ち込みは留まるところを知らず、モードミックス系やワークモード系からキュートモード系やエレガンスモード系、果てはエレガンスプレタ系まで、フィットがスリムなブランドは軒並み苦戦。その一方、緩めのフェミニン系やソフトラ系、ミセスまで波及したドメコン系は好調だった。
メンズ/レディスともインバウンドや株高に押し上げられたジャパンクリエイター系やラグジュアリー系は絶好調を加速し、バブル期を超えて売上記録を更新するブランドが続出したが、それ以上に金満狂気の徒花を咲かせたのがビットコイン特需だった。11〜12月はメンズのモードクリエイター系やトレンドプレタ系のエッジーなブランド、あるいは超高額なブランドウォッチの売上が急騰したが、「販売データ交換会」では『ビットコインで泡銭を手にした大学生や20代の若者が無造作に数百万円の買い物をする場面が目を惹いた』と真顔で報告された。12月東京地区百貨店紳士服の109.4という異常値の要因のひとつかも知れませんね。
ファッション業界はアパレルに加えてジュエリーやバッグ、スニーカーブームが去ったシューズまで売上が陰っているが、一方でインバウンドや株高、ビットコイン沸騰など、棚ぼたな“特需”が“想定外”の売上をもたらすという終末的狂躁状況に陥っている。これって統計学的には「乱雑相期」って破綻的変化の前兆なんだそうだ。アパレル氷河期の次に来るのは・・・・・・
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