小島 健輔

2019 11 Mar

ゴールを見据えて経営してるの?

     

 JKものコミックでは友達関係ヒエラルキーのどこに位置するか苦心する様子が描かれることが多く、仲間内の話題に取り残されないようSNSを漁ったりラインの返信を焦ったり、服装や日常の会話まで自分のポジションを意識しているのは可愛いが、そんなヒエラルキーごっこは幼稚園の砂場に始まって大学生時代にもあったように記憶している。そんな相互比較認識ポジショニングは社会人でも先輩後輩から職位、公的地位などJKと大して違わず、群れの中のマウンティングとなんら変わらない。それが社会的動物の本能なのだろう。
 経営者の行動も組織内、あるいは業界内のマウンティングごっこと大差ないのかもしれないが、ギョーカイの経営者の行動を見ていると時々の時流に遅れないよう迎合するばかりで、長期的なゴールを見失っているように見える。オムニコマースや無人運営店舗絡みのAI流行りはともかく、ロープレコンテストなどJKの話題追従となんら変わりない。
 前者はデジタル装備のオムニコマース・プラットフォーマーというゴールへ向いているのだから間違いではないが、キーテク進化の先行きを見極められないと「リープフロッグの罠」に落ちてしまうし、後者は店舗運営と販売の抜本的生産性向上という課題を先延ばしするモルヒネでしかない。
 真の経営リーダーは相互比較認識のヒエラルキーごっこに右往左往せず、5年先、10年先のゴールを見据えて生存ドメインと事業構造の画期的変貌を緻密に描き、果敢に推し進めなければならない。
 在庫とロスから抜本的に解放され、不動産費と人件費の負担を画期的に軽減しない限り、アパレルビジネスに未来はない。それにはIoTな無在庫/省在庫サプライチェーンの確立、プラットフォーマー(商業施設とECモール)の搾取からの離脱が必須で、自らサプライチェーンをリアルタイムにコントロールするオムニコマース・プラットフォーマーに変貌するしかない。ならば百貨店離れもZOZO離れも必然の選択であり、駅ビルやSCの店舗とていずれAI省人時運営や無在庫省在庫のニューリテールに変らざるを得ない。
 84年、90年、00年、08年に続く次のパラダイムシフトが迫る中、もはやギョーカイのヒエラルキーごっこに付き合っている余裕はない。ゴールに直行するしかないのだ。そんな経営環境のパラダイムシフトとビジネスモデルの進化を検証して明日のゴールと道程を提示するのが4月5日(金)に開催する『FB再生とビジネスモデル革命ゼミ』なのです。それに先んじて、オムニコマースの選択と道程については4月1日発売の「ファッション販売」5月号、ニューリテールのキーテク進化と選択については商業界オンラインに3月8日掲載した『リテールテックJAPAN2019緊急報告 Amazon Goもスマホペイも主流にならない』に詳説したので、お読みになって参加していただけたらと思う。
     
     
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