小島 健輔

2018 17 Jan

ギャップジャパンようやく反省?

 年中セールで販売しているのかと思えるほど値引販売が常態化して定価販売が困難になっていた「GAP」だが、ギャップ日本法人もようやく反省したようだ。先週末の日経によれば、スティーブン・セア日本法人社長がインタビューに答え『セールを抑制して会員向け値引サービスで顧客を繋ぎとめる』と発言したとか。
 米国価格の二倍近い定価を設定して値引販売で消化を図る「GAP」の販売政策はかつて私が『ギャンブルセールは有利誤認?』と警鐘を鳴らしたほど目に余るもので、日本の消費者には価格不信がすっかり定着してしまい、米国価格からの上乗せを最低限に抑えて進出した弟分の「OLD NAVY」まで値引しないと売れず、2012年7月の進出からわずか4年強で撤退に追いやられてしまった。兄貴分の無理な価格政策が災いして弟分が割を食った図式だ。
 セールを抑制する分、毎月月初の一週間は一割引にするなど会員向けの“値引”サービスを拡充するそうだから、割高な価格政策を抜本から見直す訳ではない。『「GAP」はセールで買うもの
』と長年刷り込まれた日本の顧客が一割程度の会員値引で財布を開く訳もないから、ギャンブルセール状態に戻ってしまうのも時間の問題と思われる。
 景品表示法では有利誤認を招く不適切な二重価格表示はご法度とされるが、法の粗い目を掻い潜って違法に二重価格を訴求するアパレルチェーンは後を絶たない。それどころか始めから値引いて販売する事を前提に16%とか18%の原価率で粗悪な商品を調達し、タイムセールや期間限定で値引き販売する偽装二重価格商法を常習して成長を続ける企業さえある。
 本来ならとっくに摘発されて顧客も離れるはずのそんな企業が成長を続けているのは消費者庁が政治的な判断で目こぼしているとしか思えず、モリカケな桃太郎話なのかとも訝りたくなる。それは外資アパレルチェーンとて同様で、外交的配慮で違法な二重価格商法に目を瞑っているのかも知れない。それが顧客を欺き、健全な競争を阻害し、衣料品の価格不信を増長しているとしたら、消費者庁と公取委は役割を全うしていると言えるだろうか。

     
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