マサ 佐藤

2018 28 Sep

鵜呑みにする前によく考えよ

★手段が目的化する業界?

この業界では、よく手法・手段に拘る光景が良くみられる。また、このことがメディア等で取り上げられたりすると、深く考えずその手段そのものを信じてしまう傾向がある。自分の組織のことをよく顧みることもしないで...。

 

ひと昔前で言えば、商品のSPA化。シーズン区分は7。プロパー消化率の向上(先日、プロパー消化率65%以上?でいいなんて記事があったが、ちょっと何を言ってるかよくわかんない。)52週MDの導入。QRの体制の構築等のことである。

今でいえば、ECの売上構成は多ければ多いほどいい。Iot。そして昨今良くみられるのが、AIで売上予測精度が上がる。更に言えば、現状の組織を救ってくれる!!といった現象だ。

 

★手段には必ずデメリットも存在する。

例えば、上記の例でQRという手段?手法について考えてみよう。

当然のことながら、QRという手法にもメリット・デメリットが存在する。

まずはメリットから考えてみよう。

・初回発注が少なくて済む。

・平均在庫が軽くできる(在庫回転率があがる)

・(判断が早ければ)追加生産が功を奏する。

・ぎりぎりまで引き付けて商品発注できる。

他にもあるだろうが、こんな感じだろう。ここで大きいのは、平均在庫を軽くできるということと。LT(リードタイム)の短縮で、世間の概況を見極めてから発注できるということだろうか?

 

続いて、デメリットを考えてみると?

・初回発注数の減少による、仕入原価率の上昇。

・想像以上に売れるのが早いと、商品の機会ロスを起こす

こんなところだろう。

 

★できもしないことに力を注いでも意味がない

以上QRのメリット・デメリットを見てきたが、例えば、商品供給を海外に依存している組織などはほぼQRなど不可能である。仮にQR体系が整っていたとしても、ちょこまかちょこまか小出しに商品発注されては、工場の収益も上がらなければ、効率が悪いだけである。

 

また、そもそものMD設計の販売期間が短く設定されていれば、追加生産など殆ど功を奏さない。仮にLTが1ッ月だとしても、販売期間が45日ならば、入荷初日に追加発注しても残り15日間しか売る期間がない。(更に生産体系が細かくなる。)またこのような販売期間の短い設定のショップ・ブランドは、店頭の移り変わりが早く、場合によっては販売側に

”今更こんな商品なんていらねえよ~”

なんて言われてしまうことも多々ある。

 

仮に販売期間の設定がある程度あるような組織ならば、QRは効果を発揮するとも言える。しかし、販売期間が短い設定のショップ・ブランドはそもそも追加など殆どできないと考えた方がいい。

あと、引き付けて発注できるという利点があるかもしれないが、工場側からの視点から見れば、急に納期ギリギリの仕事が入り続けるだけで、予め年間の数量予約等をしてくれていなければ、その仕事はうざいだけである。

また良くMD・バイヤー等で

”トレンドやマーケットの動向を見てからでないと、発注できな~い!”

などとほざく輩を見かけるが、そのことが結果的に、”同質化”に繋がっているということを理解出来ていなし、結果的に、そのような輩が産み出す商品は”隣の芝生は青く見える”的な商品にならざるえない。

そのようなMD・バイヤーはそもそも商品に関わる仕事などすべきではない。

 

★結局リスクを負わない限りは大きく売れることはない。

結局。何が言いたいかと言うと?自分たち組織にそもそもそのような仕組みがないのに、言われたまんまの手段を用いることが如何に危険か!ということである。

仮にQRの仕組みが整っていたとしても、ときにはリスクを負い、初回発注を増やし、仕入原価率を下げる等のことを実行しない限りはその組織が現状から大きく飛躍することは有り得ない。ということだ。またリスク負うことが嫌がって、少量ずつ発注なんてしていると売り逃しは増えたあげく、在庫が増大なんて結果もよく見かける光景だ。

 

どのような手段・手法にも必ずメリット・デメリットが存在する。だからこそ、メリットばかりに目を向けずデメリットにも目を向け、自分の組織にとって”最適”な手段を自分たち自身で深く考える必要がある。

世の中に”絶対的な手段”など存在しないし、リスクを負わず売れることなどはないのだから、一度立ち止まって深く考えるということを実行すべきではないだろうか。

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