マサ 佐藤
在庫はどのくらい残しても良いのだろう?
★ある架空の組織の損益は黒字であるが...。
ある架空の組織の1年間の損益を以下記載します。
売上 100億円
粗利率 50%(粗利高50億円。売上原価50億円)
販売管理費 40億円
営業黒字 10億円(営業利益率10%)
記載された数字だけみると、一見優良のようにみえます。
しかしながら、この組織の1年間の仕入原価が70億円だとしたら??1年で20億の在庫が増えた。残した??とも表現することができます。
1年での消化率は(売上原価)50億÷(仕入原価)70億≒71%
になります。実は損益計算書部分だけでは、組織の本質は見えない部分があるということです。(因みにバランスシート調べればこのことは解ります)
この架空の組織の残した在庫20億円というのが、どういう水準??かと言いますと、凡そ5か月弱分の売上原価の在庫を残したということになります。このことは読者の皆さんから見れば、「在庫残しすぎやんか~」ということになるでしょう。
★損益が黒字でも在庫が積み上がれば、組織は大変なことに...。
上記の組織のように、一見損益が黒字がでも毎年多くの在庫を残していけば、資金繰りに大きな影響が出る等組織が窮地に陥るのは、皆さんおわかりのことだと思います。
しかしながら、上記の組織で来年も同じ売上と粗利率が望める場合。前年度20億円の在庫原価が残ったから、今年は仕入を大幅に減らし仕入原価を30億円にしよう!!と。なると、おそらくですが売上・粗利高ともに大幅に下がってしまうでしょう。
実はこのようなことが起きている組織は多くあると推測されます。
このような組織の問題点をざっくり独断と偏見でどのような問題が起きているかを推測すると?
① 20億円の在庫の中身。→商品の鮮度・管理等の問題
② 商品の償却期間を何年としているのか??→催事等含めた組織全体のルールの問題。
この2点が浮き上がってきます。
★定番品を決めるのは顧客の方でしょ??
①の問題はその残した20億円の在庫が中身がどのような商品であるか?ということです。例えば、トレンドを意識しているようなレディースブランドであれば、商品の鮮度が下がるということで、凡そその商品に金額以下の価値しかないということになります。その場合は大幅なセールをするか??場合によっては商品を棄てるしかありません。その場合は当初の粗利高からロスを引かねばなりません。(上記のケースで全部商品を棄てたとすると?10億円の赤字に転落する)
また、残した商品が定番品と言われるもので、一見次年度でも売れるように見えた場合にも注意が必要です。
売る側や作る側から見た常識は、意外に顧客へと伝わってないのがこの業界の現状です。作る・売る側の視点はときに自己弁護へと繋がり、その定番品と言われる商品の在庫が積みあがっていた場合、それは組織とって損害を与えるものでしかありません。
基本。定番品という管理コードはよほどの例外がない限り用いるべきではありませんし、仮に同じ商品を来年展開するとしても、商品コードや販売期間に工夫を凝らす仕組みにしなければ、このような問題は起こり続けるでしょう。
★何年前の商品コードの商品までは、組織に実在していいの??
②の問題は、当期の商品コードの商品はどのくらい残していいの?また、前期・前々期?何年前の商品コードの商品までは組織実在しても良いのということを決めなければなりません。
例えば、前期の商品がアウトレット(以下OL)や催事でどのくらいのOFF率(粗利率の設定で表現)でどのくらいの売上原価が見込めるか?(消化計画)を分析・作成し、当期の商品をどのくらい金額は残していいのか??という基準を決めなければなりません。(上記の組織のOLや催事で20億円の売上原価が見込めるのならば20億は残しても良いが、粗利率20%設定でも25億売るOLや催事が必要。更にこのOL組織が損益で黒字になる計画も必要である。)
また、基本2年で償却するのか?3年で良しとするのかも決める必要があります。また、その期間で売り切れなければイレギュラーの償却手段も想定すべきです。
★要は組織全体で見れば、基本「売れる分仕入れる」ということ??
要は①②のことをルールとして確立出来れば基本、期単位の組織全体で見れば”売れる分=仕入れる分”ということになる筈です。(OLや催事で消化するキャリー商品在庫は基本仕入は発生しない筈→そういった商品消化計画も作成すべきである。)
であるということならば、なるべく早めに社全体の商品の仕入・商品管理に関するルールを改めなければならない組織も多くあるのではないでしょうか??早急なルール確立をお勧めします。
但し。現状基準??より多すぎる在庫を抱えている組織は、改革初年度は多少の血が出ることは覚悟しなければならないでしょうが...。
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