マサ 佐藤
現場では何が起きるかを想像してみた(笑)
★しまむらは、ECへの取組が遅いとされるが…。
昨今、アパレル小売業のどこの組織もECに力を入れている企業が殆どです。ECの売上構成を上げることが今後の生き残る道。なんて言われますが、そのような状況の中。日本のアパレル小売業を代表するしまむらはECサイトを立ち上げていません。
このことでしまむらは、「時代遅れ」「時流に乗っていない」等の意見が色々あるのは理解できます。おそらく、しまむら自身もECサイトの立ち上げをできるだけ早い時期にと考えていることでしょう。(2017年度からECサイトプロジェクトを立ち上げている)
★しまむらのMDの特徴は?
私なりに考えた、しまむらのMDの特徴を簡単に以下記すと。
・多品種・少量仕入(一説によれば標準店舗の展開アイテム数は4万点以上あるのでは?と言われる。本当かどうかはしらないが...。)
・(商品の)販売期間の短さ(殆ど追加商品の仕入を行わない。一説には販売期間は20日前後とも言われる。)
・基本メーカー仕入(卸先からの仕入)。取引先が膨大な数になる?(仕入原価率が高い。)
ざっくと考えるとこうでしょうか。よって、実店舗では1店舗に入荷する、1SKU辺りの配分数はごく少量になり(基本センター在庫は殆どないと推測)各店舗の商品売上状況を見ながらの、(商品の)店舗間移動の作業が膨大に上り、そのことで在庫をなくし、店頭を常に新鮮にしている。といったところでしょう。
★しまむらのECサイトを立ち上げた場合。現場レベルでどのようなことが起こるのか想像してみた。
私はWEB系はからっきしだめですし、ECサイトの専門家でもありませんが、しまむらがECサイトを立ち上げ、運営していくことにおいて、現場レベルでどういうことが起こるのか??を以下、私が勝手に気ままに想像してみます。
① 撮影数量が膨大
→上記でも記したように、しまむらの展開アイテム数量が膨大です。仮に標準店舗の展開アイテム数が4万点(本当かどうかはしらないが...。)だとしたら。それだけでも膨大です。更に、仮にしまむらの商品1アイテムの平均販売期間が1か月だと仮定すると?
40,000item×12回転(販売期間1か月)=48万アイテム
(これは1日平均1,315アイテム程撮影)という膨大な商品数を、モデル等も使い撮影しなければなりません。(ECだけ展開アイテム減らせばと意見もあるでしょうが(笑))更に色・サイズの説明。顧客の訴求する文章。私のない頭で考えるだけで一体何人いれば、この作業が実行できるのか?と考えるだけで戦慄が走ります。
② 取引先の多さがもたらす影響
→しまむらは基本。メーカーからの買い付け商品です。当然、メーカーによってその特徴(サンプルアップmのタイミング。リードタイム。納期の精度等)は違うでしょう。そのことをWEBページアップ。撮影スケジュールからの逆算で、ECサイト運営スケジュールを作成すると、とんでもない複雑さになり、想像するだけで心が折れてしまいそうです。また、メーカー側からの商品説明(サイズ・素材等)をそのまま記載するだけでは顧客に訴求しないでしょう。プラットホーム業ならば、基本メーカー任せでも構いませんが、自社ECで独自のカラーが必要となれば、かなりの事前シミュレーションが必要です。
③ 物流倉庫の混乱
→私がこの業界に入ったのは、物流倉庫のアルバイトからでしたが、当時は商品フォロー用の商品を見つけ出すことが大変でした。当然テクノロジーの進化でそういったことは解消されてはいますが、そうはいっても標準店舗の品揃えに合わせるならば、4万点以上の商品アイテム数を管理することになります。プラットホーム事業ではない、独自ECの新規参入の企業がこのことに即対応するとなると、おそらく想像以上に事前シミュレーションが必要になってくるのではないでしょうか?
そもそもが前述のMDの特徴にあるように、センター在庫を基本あまりもたないというスタンスだと推測されますから、店舗間移動の新ルール・物流コスト・B品対策等の商品管理等。事前準備とそういった専門家を招聘する必要があるのでしょう。
★各企業・組織にはそれぞれの特徴があり、ただ時流に乗ればいいのではない。
しまむらは現在ECサイト立上げ?へ向け、プロジェクトを立ち上げているようですが、おそらくこのような事前シミュレーションは当然行っていることだと思います。しまむらの店舗数ではカバーできない地域に住む人たちにも、商品を購入してもらうには、ECサイト立上げが有効であるのは間違いありません。
しかしながら、中々ECサイトを立ち上げに踏み切れないのも、事前シミュレーションによって判明した事例。コストと損益計画。(しまむらは粗利率が低いのが特徴で、より多くの売上を稼がなければ利益を出すのは難しい。)また、集客する戦略。販売計画(商品の見え方・見せ方・人気商品をどう見せる?等)の複雑さを想像すると理解できます。
だからこそ、私のような外部の人の声など気にせずに、もうどのタイミングでECで参入しようがレッドオーシャンでしかないのですから、自分たちの組織の仕組み・長所または短所を慎重に熟考した上、しまむらができる「多くのお客様が喜ぶ」施策を実行すれば良いのでは?感じます。
しまむらが、ECサイト立上げへ向けどんなオペレーションを組み、「多くのお客様が喜ぶ」ようなECサイトが立ち上がるのか楽しみにしたいと思います。
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