マサ 佐藤

2018 19 Feb

QRは良いことばかりではない??

★そもそもQRの意味って??

某企業の決算書をじっくりと確認していると、「QR対応が確立され、これまで以上にプロパー消化率がよくなり、利益体質が改善された」なんて文言を見かけます。そんなにQR対応ってのは素晴らしいことなのか??ということで。

 

そもそもQRの意味って何??ということを以下説明すると??

”クイック(迅速)レスポンス(反応)。という言葉の要約。アパレル業界では、売上に連動して迅速に商品を製造し、供給できるようにする仕組み。”

 

このように捉えるのが一般的でしょうか?話は逸れますが、この業界の悪しき慣習なのか?何でも英語で伝えることを止めて欲しいと思うのは私だけではないでしょう。

 

★QRのメリットとは??

そもそもQRのメリット・デメリットとは何でしょう??このことを基本に書いた文章ではありませんが、南充浩さんのブログに書かれている内容が秀逸なので、下記ご覧ください。

http://minamimitsuhiro.info/archives/2198.html

 

MD的視点でみるQRのメリットとして最たるものは、在庫が滞留しづらいということです。

南氏の記事に書かれていますが、例えば売れた商品を追加した場合。2・3週でその商品が上がってくれば、MDは物凄く助かります。何故かというと、初回発注は2・3週くらい(極論)の売上数を発注すればいいからです。仮にその商品が売れなければ、追加しなければ良いということになります。

例えば、昨今主流の海外生産の場合だと、商品を追加しても2か月以上の期間がかかってしまいます。となると??商品の初回発注量は最低でも2か月分の売上数以上の数量を発注しなければなりません。ということは??仮にその商品が売れなければ、その分だけ在庫が残ってしまうことになります。(アパレル小売業の最大に悩み)

 

となると、それだけQRできる体制を整えたいということは、どんな経営者でも考えることです。

 

★QRのデメリットとは??

では?そんな組織にとって得なことしかないQRのデメリットとは何でしょう?とMD視点で考えてみると??

まず初回発注が少ないということは、生地値・工賃等が上がり易く、仕入原価が上昇しやすいということです。となると??一番粗利益を稼ぎやすい手段の一つが失われることになります。

 

また、南氏の記事にも書かれているように、実際は生地等の在庫を持っていないとこの仕組みは機能しません。結果的に生地は多めに発注することになったりすれば、それなりのリスクはありますし、他の生地に変更した場合は売れるとも限りません。

 

更に、工場やメーカー側との密の取組がない場合もこの仕組みは全く機能しません。都合のよいときだけ、「少量だけ追加商品頼むよ!」と言っても工場側のスケジュールの都合や儲けの問題もあります。ましてや日本の仕組みのようにその都度、付属・裁断・生地・縫製の包括的体系が整ってない場合は、ただただ手間と時間ばかりかかり、結果的にQRにならない場合もよく見かけます。

 

★これからの時代。自分の組織さえよければでは通用しない。

この時代QRを実現しようとするには、上記で書いた問題以外にも多々ハードルがあります。しかしながら、自分たちの組織の利益だけを考え、自分のところは身を切る、妥協することもしない。製造側だけにただただ負担を強いているのが、この業界のQRの現状ですし、作り手側も過去の慣習から抜け出て考えるべきです。

また、MDもそういった事情をもっと学習し、MD体系を包括的に構築すべきです。

 

そして、一番問題なのは顧客視点が抜けているという点です。だからこそ、大事なのは自分たちの組織のスキル・長所。時代の経過によって変化したことを的確に捉え、自分たちの組織ができる「顧客にとって喜ばれること」を深く考え、実践できることを構築すべきではないでしょうか。

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