千金楽 健司

2021 19 Mar

SNSは麻薬だ

画像:『音声だけじゃない! 今米国で人気沸騰中、3つの新興SNSアプリの共通点』より


2011年以降、SNSは多くの人々にとって「不可欠」なツールとなりました。自分自身、セミナー等で「SNSの重要さ」について何度も話をしていますが、SNSをしっかりと運用・活用していなければ、マーケティングの「入口」にすら立てないというのが、いまの小売業界にとっての常識になりつつあります。SNSを通して顧客・消費者と直接繋がることが非常に重要であることは間違いありません。しかし、単なる1ユーザーとしてSNSに対峙すると、そんな常識とは相反する思い・葛藤が湧き上がってきます。

参考)どんどん生まれる新興SNS
『音声だけじゃない! 今米国で人気沸騰中、3つの新興SNSアプリの共通点』

twitter、Facebook、Instagram、Clubhouse、Dispo…どのSNSもやればやるほど(ハマればハマるほど)、対立と分断が加速していくのを痛切に感じ、恐ろしくなるのです。キラキラの充実した毎日をSNSに投稿する「リア充」な人たちとそれを妬む人たち…なんていうわかりやすい対立構造だけを恐れているのではありません。自分と似た志向を持つ投稿(自分好みの投稿)だけが意図的に選ばれて表示されるSNSのアルゴリズムに踊らされ、「自分と同じ意見の人がこんなにいる!自分は間違ってない!」と思い込んでしまう人が世界中にどれだけいるのだろうかと思うと恐怖でしかないのです。承認や賛同を得ることは非常に心地良いことです。SNSはまるで「麻薬」のように、その心地良さを利用者に与えてくれます。しかし「麻薬」なのです。薬が切れたら…一体何が起こるでしょうか。あるいは、自分の心地良さを奪われそうになったら…どうなるでしょうか。

有名な話ですが、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツは、親としての責任から自分の子供たちにスマホを持たせない(SNSをやらせない)そうです。デジタル技術の進化は我々に多くのメリットをもたらしてくれました。インターネット、そしてスマホは人類史上、類まれない大発明だと思っています。でも、そこには大きな代償もあるのです。SNSが引き起こす対立と分断、ユーザーの心を壊してしまいかねない程の影響力…スマホこそ、しっかりした大人が程度をわきまえて使う道具なのかもしれないと最近強く感じています。依存するのではなく、適度にかしこく使う…それがSNSなのではないでしょうか。

最後に、ここ数年感じていたそんな思いをより強くさせたドキュメンタリーを紹介します。

監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影

Netflix会員の方はぜひ見てほしい動画です。
顧客をユーザーと呼ぶ業界は2つだけ。
それは、麻薬業界とIT業界であるということを皆さんご存知ですか?