児玉 千恵子
学ぶべき課題の、優先順序の見直しを
学ぶべき課題の、優先順序の見直しを
商人の心得は、「一期一会」「茶人の心」「心にお茶のある人」・・・が、昔も今も念頭におきたい、不変の原理・原則だと思う。
例えば販売力・営業力研修に着眼しても、学ぶべき課題の、優先順序の見直しを必要とする企業や店舗は少なくない。教育・研修の予算が確保しづらい時代だからなおさらか。
以下は、最新のエピソードである。
① 地方都市にある百貨店の女子社員が、「ギフトアドバイザーの国家試験には合格したものの、資格を生かすチャンスがあまりない!」と嘆いておられた。
また ② 「骨格診断」系列の研修を受けた、カラーアナリストや売場スタッフから「どうもいまいち納得がいかない・・・」と、私への問い合わせがあった。「せっかく高い受講料を払ったのだから、集客のための催事に活かしたら」と助言をした。
②に関しては、私も以前から「?」マークを抱いている。
仕事柄(70年代から今日まで)、沢山のお客さま(男性も女性も)との出会いを頂戴し、接客と採寸時に身体の特徴をリテラシーしてきた。
人間の身体は、男女ともに千差万別・百人百様である。にもかかわらず、身体の質感とラインをもとに「ナチュラル・ウェーブ・ストレート」の3体型に分類して、その服が「似合う・似合わない」と判定する理論を、メディアも深く検証せずに取り上げている!
体つき「身長・体格・体形(ボディライン・プロポーション)」は、はと胸・猫背・いかり肩・なで肩・出腹・出っ尻・垂れ尻・平腰・屈身体・反身体の他、グラマラスorスリム・トールorプチサイズの方から、特定部位「腕や脚が太い・肩幅が広いor狭い・首が長いor短い・バストが豊かor貧弱・バストポイントやヒップが高いor低い・腿が太い・ウェストがずん胴orくびれている・O脚orX脚」他と、道行く人々や著名人を見ても様々なケースがある。
また、◇ アパレルメーカーのデザイナーは、情熱を注いで作った服を、多くのユーザーに購入していただきたい。
◇ 販売スタッフは、ショップ内の服を、沢山のお客さまに購入していただきたい。
◇ お客さまは、TPOやその時々の気分をふまえながら、出会う相手に褒められたい、喜んでいただきたい・・・などと、いろいろなデザイン服にチャレンジしたい潜在願望を抱いている方が多い。
一方で、自分の肌に映える、もしくは似合う色(パーソナルカラー)を知ることは賛成だ。けれども大半のお客さまは、似合わない色でも着てみたいときもある。・・・そんな場合でも、アクセサリーや小物雑貨、メイク次第でステキに着こなせる!
したがって、骨格診断によるスタイリングを煽ることは、一歩踏み間違えると、アパレル(繊維産業も)と小売業の売上活性化への道を、自らが狭めていくことになりかねない。
そういった理論がお客さまのお役に立つのなら、国内外の歴代のデザイナー・クリエーターの方々も、とっくに取り入れているはず・・・。
私が講師を務める「ボディ&スタイリングフィッター実践講座」(今年2018年12月4日 東京都 中小企業会館で、第31回ボディ&スタイリングフィッター実践講座を開催)に、昨年とその前にも骨格診断を受けた方々が受講参加され、混迷していた課題の整理ができたと、感想を寄せてくださった。(「ストアーズレポート」2018年10月号 児玉千恵子書き下ろし連載160回「商いの実学・遊学・雑学」より)
〔PHOTO:DOMINANT LIMITED〕
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