武田 尚子

2018 21 May

ソフトブラの選択肢広がる

 「スローギー・ゼロフィール」「GOCOCi」をはじめとする接着技術を活用したシームレスブラは、量販系メーカー各社の参入によって市場がぐんと広がっている。その影響もあって、ブラにラクな快適性を求める傾向はますます進み、ノンワイヤーなどソフトブラ全体が人気を高めている。

 国内インナーウエアメーカー各社の2018秋冬物の展示会がほぼ終わった段階で、このソフトブラの選択肢が増えたことを実感した。ここでは、一般の卸も行っている個性あるブランドを中心に、目についたものを紹介したい。いずれも秋らしいシックな色合いがそろっているのもこのシーズンの特徴だ。

 

 スマイルコットンの「フリープ」から登場して数シーズンになるインポート感覚のリュックスシリーズ。薄手で上質な綿100%天竺にリバーレースを組み合わせたブラ(カップはエレクの不織布使用)は、キャミソールやブラキャミと共に、ホワイト、グレー、ダークネイビー、モスグリーンに加え、新色マスタードがおしゃれな雰囲気を盛り上げている。見た目が洗練されているだけではなく、隅々まで肌触りにやさしい工夫が施されている。

 同じく「スマイルコットン」のコンフォートシリーズは、スマイルコットン綿100%のエアーニット(接結)で新しく登場した長袖Tシャツがアウターとの組み合わせに便利そうで魅力的。同じカラー展開が楽しめるベア天竺のコンフォートブラ&コンフォートショーツには新色ボルドーが登場している。秋冬のデイリーな装いはもちろんのこと、ヨガやウォーキングなどのソフトスポーツにも活躍しそう。

 

 少女の心を忘れない大人の女性にぴったりの「ラ・ヴィ・ア・ドゥ」。フリーカットレース&3Dパッドという日本の技術のノウハウを結集させたグループが発売以来、着実に人気を広げ、同ブランドの定番になりつつある。

30年前のブランドスタート当初から提案されているノンワイヤーのソフトブラは、その他の各グループにも構成されている。これは繊細なニュアンスが優しいフラワーギュピールレースのグループ(「ドメスティックアンダー」)。

 

 また、ワコールの百貨店向け差別化ブランド「パルファージュ」でも、ブラレットやノンワイヤーブラといったトレンド性への対応が見られた。メインは造形機能を重視したワイヤーブラだが、全体的にフェミニンからエレガンスへとテイストを変化させたとしている。

 

 いつでも造形機能に富んだワイヤーブラでバストラインを補整してきた日本の女性たちも、ここ数年の間に大きく変化した。今は全体的にラクな方向に流れている印象だが、さらにもう一歩進んで、その日の服装や場面によってブラも自然に着替えるという習慣が根付くことを期待したい。