繊維ニュース 編集部ブログ

2017 18 Dec

日本向け生産で新疆急浮上

 【上海支局】中国政府が2013年に中国と欧州を結ぶ広域経済圏構想「一帯一路」をぶち上げて以降、世界有数の綿花産地である新疆ウイグル自治区では、繊維産業が爆発的な成長を遂げている。手厚い優遇政策の下、紡績企業の進出が盛んになっていたが、最近では縫製業の工場建設も目立つ。

 こうした中、日本向けアパレル製品のOEMでの活用がにわかに脚光を浴びている。日本、欧米向け製品OEMの江蘇三潤服装集団は来年、同自治区での生産に乗り出す。丸紅グループのアパレル製品生産管理会社、丸紅繊維〈上海〉も新疆生産の活用を検討中だ。

 背景には、鉄道網の充実により沿海部までの輸送リードタイムが改善したことと、税制や工場建設に関する優遇政策、さらに少数民族を中心とした豊富な労働力がある。

 一方、地理的かつ心理的な距離は、いまだ進出の一番のボトルネックだ。江蘇省の日本向け製品のOEM会社のオーナーは、「距離が遠く、治安への不安もあり、管理者が行きたがらない」と打ち明ける。(写真は、今年5月に新疆ウイグル自治区ウルムチ市で開かれた「中国新疆・欧州ハイレベル繊維フォーラム」)(祐)