芹澤 絵美

2017 10 Dec

2つのシャルドネ

先日、今年の4月に収穫したシャルドネの試飲を行いました。

今年は2種類あり、1つは通常のオーク樽発酵、
もうひとつはこれです!

<*下写真はうちのワイナリーではなくタンク製造工場>


コンクリートでできた卵型タンク。

このタンク内では、
その構造上の理由から地球の大気の流れと同じような、
自然に出来る水流が起こるらしく、
常に中でワインが動き続けているそうです。


オーク樽とエッグタンク、
それぞれに絞ったブドウを入れてから8ヶ月。
仕上がりを確認すべくスタッフ全員で試飲しました。


左側のグラスがエッグタンク発酵、右側のグラスがオーク樽発酵です。

グラスに注いで貰っている時からなんともいえない芳香が

エッグタンク発酵のほうはうっすら濁っています。
見た目もだいぶ違っていますが、
肝心の味のほうもまるきり違っていました!

オーク樽のほうは人々がイメージするシャルドネの味で、
そこからその年の葡萄の出来や樽感などを感じていくのですが、
エッグタンク発酵のシャルドネは、
シャルドネの特徴でもあるシャープさがなく、
とってもまろやかでハニーレモンのような味がしました。
今まで飲んだことのないタイプのシャルドネですが、
かなり私の好みでした。

これがボトルリリースされたら購入したいところですが、
残念ながらエッグタンク発酵は今回が初めてでまだ実験段階。
極めて少量なので、100%エッグタンク発酵のシャルドネは今回は世に送り出すことが出来なそうです。

今回このエッグタンク発酵シャルドネをどうするかというと、
通常のオーク樽発酵のシャルドネに混ぜ、その黄金比を探る実験に使うそうです。

なので私たちもその場で簡単に混ぜて飲んでみましたが、
適当比率だったからか、
それぞれの特徴が相殺されて「??」というシャルドネが出来上がってしまいました(笑)
当然ですが、これは醸造家の仕事。
私の好みは100%ピュアエッグタンク発酵ですが、
プロが0.1%単位でこだわった比率で混ぜれば想像を超えた素晴らしいシャルドネが完成するかも知れません。

私は、ワインは丁寧に作ってあれば、
ある一定以上のランクのワインに美味しい不味いは無いと思っています。
あとは飲み手の好み。

どれが好きか、ただそれだけだと思います。

私はお酒に弱いこともあってたくさん飲むことが出来ないので、
私にとって美味しいワインとは、スイスイグラスが進むワインです。
アルコールであればなんでもいいわけではなく、
味が好みかどうか、ただそれだけです。

なので好きか嫌いかの判断はものすごく速いです。
好きなら飲み続けられるし何度でも飲みたい。
けれど好きじゃなければ二口目が限界です。
そしてそれに時間は二度と割きません。
なぜなら人生のうち飲めるワインの量は限られているし、
ワインは星の数ほどあるのでスイスイ飲めないワインに私の舌と肝臓を使いたくないからです。

こんな感じで好みがはっきりしているので、
もう一度飲みたいと思わせる味、忘れられない味、喉がなる味のワインに出会うと記憶にはっきり残ります。

ラベルや名前を覚えられら無くても舌がその時の感動をしっかり記憶しています。このエッグタンク発酵シャルドネはそのうちの1つに入りました。

今後シャルドネを飲む時に、
どこかでこの味を探しながら飲むことになりそうです