マサ 佐藤

2018 11 Jan

タイムセールの乱発は本部の職務怠慢?

1月のこの時期に入るとセールもだいぶ落ち着くころではないでしょうか。

 

★タイムセールの効果とは?

セールも落ち着いてくると、人気商品から先になくなり商品のSKUがバラケてくるようになります。そんなときに、ある意味効果を発揮するのは、タイムセールになります。

 

セールが一段落し、色・サイズがばらけ商品が売りづらいとき。また、アウトレットで更に商品が売りにくい時には、この施策は効果を発揮しますし、アウトレットでは店舗側にタイムセールの権限自体を委譲する方が、組織全体としては、利益になるケースも多くあります。(但し、本部との情報共有は必要であるが…。)

 

★タイムセールという施策は、手っ取り早く、頭をつかわなくていい??

しかしながら、昨今のセールの状況を見ていると、かなり早い(初日、もしくはその前??)段階からタイムセールを実施している組織が多くみられます。

 

ある一定の時間。多くの商品を無くすことできるタイムセールは、とくに在庫消化という観点から見れば、絶大な効果を発揮します。また、セールプライスシールの張替えや、その他店頭の負担も軽減できるので、一番手っ取り早い在庫消化の手段とも言えます。(2点買ったら更に〇〇%オフも同じような施策)裏を返せば、本部の業務も頭を使わずにすみ、仕事の手間が省けるということです。

 

しかしながら、MD視点で見れば、結果的に本来とれた筈の「粗利益」を多く損失することになり(売上原価が上がるから在庫が減る)、とくに早い段階でのタイムセール実施は、本部の職務怠慢と言わざるえません。

 

更にこの手っ取り早い手段が常態化すると、本部・店頭とも頭を使わないようになるだけではなく、お客様からもそのことを見破られ、「更に値段が下がるから、今買わなくてもいいよね!」という心理を起こさせます。そうなると、タイムセールは麻薬のように止めらないものとなり、さらにエスカレートし、敷いてはブランド・ショップの危機を早めるだけでしょう。

★そもそも何故タイムセールを実施するの??

早い段階から、タイムセールをする理由。それは皆さんもご存知通り、在庫が多いということです。しかも、かなり多いということを、数字だけではなく、見た目でも感じているということになるのでしょう。

 

要は、「売れる以上に、商品を仕入すぎ!」ということになるのですが、何故そのような状態になるまで、なんの対策も打てないのかが理解に苦しみます。

 

仕入すぎの要因としては??

① 仕入予算の設計が根拠がない。理解出来ていない。

② 期中での売上・粗利・仕入・在庫を一気通貫で管理できていない。利用できていない。

等が挙げられますが、今回は簡単に①のことについて考えてみましょう。

 

★(仕入)原価率と粗利率の関係性を理解出来ていますか??

本部でMD・バイヤーの業務をしていると上司によく「(仕入)原価率を下げてね!」ってことを良く言わる筈です。(仕入)原価率を引き下げることは、MDとして当然すべき業務の一つです。なぜなら、MDの仕事の目的である、粗利益を多くすることに繋がる、一番の手段だからです。

 

しかし、同時に以下のようなことが起こるというのもMDは知っておかねばなりません。

 

”例えば、期で(仕入)原価率25%の組織の粗利率が50%に着地した場合。期でのOFF率は50%ということになります。仕入売価換算すると、期で売上の2倍の仕入売価金額を起こしたことになります。更にこれで在庫が残れば(当然残っている筈)2倍以上の金額を仕入れているということです。”

 

目先の(仕入)原価率ばかり捉われ、売上・粗利益等の基礎が理解出来てないと、結果的にこのようなことを招いてしまします。だからこそ、目先にばかり捉われ、なんとなくクリスタル​タイムセールを実施するのではなく、過去・足元・未来を見据え、セール等の施策を実行していく。また、社としてMD・バイヤー。敷いては経営者や幹部が、しっかりと「売上・粗利益・値入・在庫」の数値基礎を学習する必要があるのではないでしょうか。

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