上野 君子
四半世紀近く続けた寄付を止める
「寄付」について口外するのは日本ではタブー?なところがあるが、自動引き落としで四半世紀近く続けていた寄付の終了を決断した。
1998年1月に私が始めたのは、この組織が日本に上陸間もない頃、取材に行ったのがきっかけだ。この組織なら寄付したい。1日50円ならできると思ったのだ。
同組織がノーベル平和賞を受賞するずっと前のこと。
それに、この組織の活動は、私自身はとても手が届かない、世界で最も生命の危険にさらされている人々への援助だったから。

なぜ、寄付を終了するに至ったのか。
できればささやかでも続けていきたかったが、私自身の経済が回らなくなってきたからだ。
本業は採算をとるのがもはや難しく、それ以外に副業として続けてきた仕事の一つも「定年退職」となり、来年からのめどが立たなくなってきたからだ。
もっと仕事をしたいのに、60歳以上になると本当に仕事がない。
年金受給を始めるとしても、国民年金主体の額では生活していくことができない。
よく「月5万円でも豊かな生活」をしているシニアなどが話題になっているが、私は猜疑的だ。本当にすべて5万円で暮らしていけるのだろうかと思う。インフラとして必須のスマホも持てないし、病気やケガで病院に行くこともできない。
加えて、昨今の時代の変化や物価高は、高齢者にとっては本当に痛い。
私などはまだまだ序の口で、明日食べるものにも困っている人がたくさんいるはずである。
SDGs、サステナビリティが声高にさけばれる中で、富裕層の一方で貧困層が増大していることに、もっと社会全体が目を向ける必要があるのではないだろうか。
富裕層は貧困層をサポートしてほしいし、富裕層対象に利益をあげている企業は、CSRとして貧困層への取り組みを真剣に考えてほしい。
私自身も経済を安定させることができたら、またささやかな寄付を復活させたい。