久保 雅裕

2019 20 Oct

アマゾンから楽天に変わって・・・

HARE

楽天ファッションウィークが終わった。

アマゾンから楽天に冠スポンサーが変更となり、初のファッションウィークだったが、どのように変わったのか。基本的なオペレーションは伊藤忠ファッションシステムが事務局を務め、変わっていないが、プレス・フォトグラファー登録のデジタル化がより進み、写真付きのパスがプレスにも発行されるようになった。システムが海外のものだから、姓と名がひっくり返っていたが。

さてアマゾンも楽天もECプラットフォームを、どう結びつけていくかという視点では、同じようなスタンスだったのだろう。しかし関係者によればアマゾンの時には、「本国にいちいちお伺いを立てねばならず、時間が掛かった」「アットトーキョーなどのイベント情報が共有されず、コレクションスケジュールにぶつけられた」など事務局にも相当な不満が溜まっていた様子だ。今回楽天になって、「即断即決で話が通じる」と好感触。

だが欧米の感覚は、逆にもっとスピーディーで、ある意味ダイナミックだ。日本人の「相手を慮って、きめ細かな対応を心がける」というような忖度もあまりしない。来年の東京オリンピックのマラソン・競歩を札幌開催に変更するというIOCの検討に戸惑う日本人。これと全く同じ構図だ。

Nobuyuki Matsui

もう一つは、「楽天ファッション」とリンクしてB2Cを強化していくという点。アマゾンでも「アマゾンファッション」を通じての販売などイベント性のある企画も多々あったが、更にCに向けた施策を広げていくという。先週末に開かれた小嶋陽菜のブランド「her lip to」 のリミテッドショップも楽天ファッション限定品は楽天ファッションECでのみ販売するということで、ECと実店舗の連携を試みた施策と言える。既にEC無くして語れない小売業界。実店舗とのリンケージをどう深めていくかも課題となる。

her lip to の小嶋陽菜

一方で各国のコレクションスケジュールが基本的にはB2Bの受発注時期におけるプレゼンスに重きを置いて、同時期のトレードショー、ショールームの開催を当たり前の事として実施されている点を鑑みると、東京のファッションウィークの時期問題はトレードショーのスタンスも含めて喫緊の課題と言える。既にメンズは明らかに遅いと言われて久しいが、一部ウィメンズのブランドも世界の受発注時期に合わせた生産スケジュールを組み立て始めており、この点でも「東京の開催時期遅し」の声は日に日に増していくことだろう。

来年はオリンピックもあるため、容易に動かしがたいのは理解できるが、21-22年秋冬辺りから早期化が実現することを望みたい。もちろん再来年の話なので、状況が変わっていることも十分ありうる。機を見るに敏、当意即妙でお願いしたいものだ。これは欧米に習うべきことかもしれない。

Thibaut

GUT'S DYNAMITE CABARET