武田 尚子

2020 22 Sep

エコフレンドリーでシックなアプローチ

季節の感覚がすっかりおかしくなってしまったが、秋が深まろうとしているなかで、来年2021春夏物の展示会がスタートしている。
他社に先駆けて、先週、内見会を開いたのは、「ランジェリーク」(カドリールインターナショナル)。いつもはパリでの国際見本市を終えてからの国内展であるが、今回は世界初のお披露目の場となった。

テーマは“Mato grosso”。世界最大の熱帯雨林のひろがる南米アマゾンをテーマに、自然の豊かさや強さを見つめなおすコレクションとなっている。
パンタナル、カーティンガ、レフュージョ、セラード、イガッポと、アマゾンのエリアごとに名付けられたグループ構成で、アマゾンの多様性を表現。地球温暖化や環境破壊などの問題提起が込められている。

アマゾンといっても派手な色柄があるわけではなく、湿原をイメージした繊細な植物柄のレースやプリント、乾燥した森をイメージした見事なサンドベージュと黒、緑茂る熱帯高原をイメージしたコットンドビーやカラーネップコットンといった具合に、あくまで「ランジェリーク」らしいシックで静かな表現となっている。

全体的には多様な着こなしのできるラウンジウエアが充実しているが、それ以外の日常的な商品構成の中にも次のような新しい試みが注目された。

優しいストレッチ性のあるパワーネット(ナイロン60%・コットン30%・ポリウレタン10%)に、フランス製リバーレースを組み合わせたハーフパンツ。 “雨期に水に浸かる黒い水の森”を想わせるモスグリーンが美しく、ボトムを優しく包み込む。

オーガニックコットンの天竺を使ったサニタリーショーツ(左)とスタンダードショーツ(右)。サニタリーショーツの方はポリウレタン混紡のベア天竺となっている(5月中旬発売予定)。
いずれも未染色のナチュラルな色合いで、工場で出る残糸を利用した縁どりのステッチが施されている。残糸のために色のアソートがまちまちであることが、かえって楽しい。