武田 尚子

2024 17 Apr

肌着の新しいアプローチ

四季がはっきりしていた日本において、素材開発を含めて肌着(ニットインナー)は昔から優位性のある重要な市場である。従来はどちからというと防寒機能の求められる秋冬シーズンに比重がかかられていたが、近年は地球温暖化の進行とともに、蒸し暑さとの闘いである高温多湿な春夏シーズンの比重が高まっているといっていい。
特に今シーズンは、肌着の伝統的なメーカーからの新しい切り口が注目される(いずれも年間通した取り組み)。

 

まず、グンゼからは、梅雨時や夏の汗によって引き起こされるベタつきやジメジメなどの不快感を、同社独自の汗解消テクノロジーで瞬時に消し去る新たなファンクションブランド「アセドロン」を開発し、4月から販売を開始している。
「"グンゼ史上最高クラス"の吸湿速乾性を打ち出し、新たな視点で不快感の根本的解決に挑戦した」というこの商品は、吸水力に優れた珪藻土(けいそうど)の自然パワーに着想した多孔質構造を実現したもので、目に見えない無数の隙間が衣服内の湿気を素早く吸い込んで吐き出す構造を再現し、より快適に進化させている。
生地は吸湿性が高くなめらかなレーヨンとドライ感の強いポリエステルの混紡により、サラッとした触感が持続。糸の芯部のレーヨンに吸放湿性を高める物質を結合させることで、湿気を持続的に吸放湿する。糸の鞘部につくった空隙で水の通り道を確保し、汗を素早く効果的に拡散することによって、「肌離れ」のよい着ごこちを実現した。
メンズ・レディスともに、インナーウエアだけではなく、ソックス、パジャマまで展開している(肌着の中心価格帯は税込1,650円)。

また、アツギでは、年齢や性別、生活スタイルを問わず、誰もが毎日をより楽に、より楽しく過ごすための新ブランド、「みんなの、みんなの。」を発売。“みんなの「楽ちん」は、みんなのハッピーなのだ。”を合言葉に、「着脱かんたん」「洗濯後もらくらく」「肌へのやさしさ」「環境へのやさしさ」という4つのブランドベネフィットを掲げ、着心地も、扱いも楽ちんでハッピーなアイテムをSSから3Lまでの幅広いサイズで展開している。

メンズ・レディスはもちろん、キッズまで含めたトータルな展開だ。全18型で価格は1,320円~3,300円(税込)。