武田 尚子

2025 28 Apr

惹きつけられる対象を掘り下げると

国内インナーアパレルの秋冬物展示会も既に3月から始まっている。
「2025シーズンコレクション」(店頭展開は7月から)と銘打った「ランジェリーク」(カドリールインターナショナル)のテーマは、“PHILOSOPHIA”。
クリエイティブディレクターの有馬智子さんがふと目にして惹きつけられたアメリカの写真家、Lee Friedlander(リー・フレンドランダー)の、妻・マリアを長年にわたって撮り続けた一連の写真からインスピレーションを得たものとなっている。

マリアの年代別テーマに合わせるかのように、今回の新しいシリーズもPATHOS(パトス:情動)、ETHOS(イートス:習性)、LOGOS(ロゴス:理性)で構成された。
マリアの20代を表した“PATHOS”は、フォギーローズ、ミントグリーン、プラムといった初々しいカラリングのストレッチリバーレースによるフレッシュなシリーズ。

マリアの40代を表した“ETHOS”は、ニットインナーで好評なオリジナル素材のコットンシルクリブ(綿80%、シルク20%)を使用した肌触りに優れたシリーズ。繊細な花をあしらったフランス製リバーレースやさりげないピコレースをあしらったブラが、大人の日常に寄り添ってくれる。深ばきのハイウエストスタンダードショーツも登場。

そして、マリアの70代を表した“LOGOS”は、フランス製コットン混リバーレースにオーガニックコットン天竺を組み合わせたナチュラルなシリーズ。日常にこそ上質さを取り入れたという大人の女性にふさわしいコレクションとなっている。ビスキュイやポーセリン、ベビーブルーなどの繊細で優しい色も印象的。

さらに、今回は同ブランド初のコラボレーションシリーズが登場。アクティビストのeriさん(デプトカンパニー代表)とのコラボによる“ERI”(11月上旬発売)で、ランジェリーとしては珍しいコットンヤク素材(綿80%、毛20%)を使用した暖かく心地いいニューランジェリーともいえるシリーズだ。シンプルなノンワイヤーブラ、ノンパデッドブラ、背中の開いたボディスーツなどに加え、過去に使用した麻混レース(残布)を使用したソフトなブラが効果的なアクセントになっている。

自らモデルになったポスターの前で、eriさんとコラボシリーズ

 

一方で定番の「ランジェリーク・ベーシック」の各シリーズが充実している中で、有馬さんの哲学を込めたこれら新作の役割がより明確になってきた。