武田 尚子

2025 11 Jun

BtoCランジェリー合同展で見えた新しい枠組み

ランジェリー市場の変革期を象徴するようなイベントが、6月7日(土)・8日(日)の2日間、表参道駅に程近い南青山のビル内で開催された。ランジェリーをファッションとして自由に楽しもうという、個性派デザイナーランジェリーブランドを集めた「Designer Lingerie Arcade(デザイナーランジェリーアーケード)」だ。

参画したのは(アルファベット順に)、ブランドが「アロマティック(AROMATIQUE)」「ジェミニテイル(GEMINITALE)」「ランジェリーク(L‘ANGELIQUE)」「ラ・シレーヌ(LA SIRENE)」「ナイスナイスモーメント(NICENICE MOMENT)」、サニタリーブランド「ライムライム(LIMERIME)」、そしてランジェリーセレクトショップの「ラグット(LA GOUTTE)」「ムール(MOOL)」「ランジェリーアンドハ―フィルム(THE LINGERIE AND HER FILM)」。

主催者である株式会社モデルインクは、代表取締役・津島忠章さんが2014年に創業した会社で、パリと東京でシーズンごとにショールームを展開している。
ランジェリーブランドについては、創業間もなく出会ったヨーロッパのブランドを日本に紹介した経験があるが、日本のバイヤーから期待していた反応が得られなかった苦い経験があり、津島さんはランジェリービジネスの難しさを感じてきたという。
近年、ランジェリーサイト「ランジェリーアンドハ―フィルム(THE LINGERIE AND HER FILM)」を主宰する萩本佳弥さんと出会ったことにより、ランジェリーに特化したBtoBの展示会をこれまで2回ほど開催した。今回の「Designer Lingerie Arcade(デザイナーランジェリーアーケード)」は、一般ユーザーを対象に展示販売を行う初のBtoCイベントとなる。
メディアやバイヤーとの交流を図るために、初日夜にはオープニングパーティを実施(事前登録130名)したというのも、同イベントの特長といえるだろう。

私自身は初日土曜日午後に訪問したが、SNSなどで情報を得た人たちが思い思いに会場を見て回り、実際に手にしながら、ブランドの人たちと会話するという光景が見られた。
参画ブランドに話を聞くと、概ね好感触の反応を得ているのが伝わってきた。

「時代はSNS全盛ですが、人と人が出会う“フェス”感覚のマーケットイベントとして、新しいスタイルをつくっていきたい」と話す津島さん。今後もBtoBイベントは年2回定期的に行い、それとは別にBtoCイベントも年2回ペースで継続していく方針だ。

これまで何かと「分断」で語られていたランジェリー業界だが、次の時代を予感させる、新しい世代によるマーケットの幕開けを感じさせたイベントであった。

ランジェリーク

ナイスナイスモーメントアロマティック

ラ・シレーヌ

ランジェリーアンドハ―フィルムとそのバイイングを行う萩原佳弥さん。2008年にNYのパーソンズ美術大学を卒業後、日本に帰国し、デザイナーブランドのパタンナーなどを経てランジェリービジネスにかかわるようになる