進士 恵理子
2020
29
Feb
Kantstraßeの中のハノイ
大鍋に湯気がたつ。カウンターの中にはベトナム人のおじさんおばさんが威勢よくフォーを茹でている。ランチをすぎた金曜日の午後、店はまだ満員だ。
この店はDuc氏の7件目の店。彼はベトナムからの難民だ。子供時代に西ベルリンになって来た。高校時代に食文化を極めようとこの道に入った。今は100人をこすスタッフをもち、TVのキッチンバトルにもここ数年顔を出す。大学時代このDucさんが作ったノーブルレストランShiro i Shiroでアルバイトをしていたことがあるが、成功する人はこういうひとなんだなぁ、と感じたことがいくつか。まずは偉そうぶらない。むしろ素朴な感じ。人当たりがいい。現場で働く。仕事が好きっていうのが伝わってくる。人のいいところを見つけて使うのもうまい。win-win関係がうまい。
このMadame Ngoをいうフレンチベトナムカフェはこれまでの和食・魚料理レストラン、高級層をターゲットにしたのと打って変わって、フォーをメインに置いたもので、結局彼が一番美味しいと思っている故郷の味なのではないか、と思った。

熱々の透明のスープはあっさりした鶏ガラ出汁の塩味で、レモンと赤唐辛子を少し入れていただく。ラー油の色がさらに食をそそる。

ベトナムとトルコはドイツにおける二大移民国なわけだけど、食文化の浸透っぷりは半端ない。やはりドイツの食文化にかけた部分を補えるからだろうか。
ちなみにDucさんが手がけている豚骨ラーメンの店も本当にいつ行っても満帆で、彼は老若男女の胃袋をがっつり掴んで離さないなぁとマジで感心しています。