齊山陽子

2018 19 Oct

LAで話題の働き方”マルチスラッシャー”として生きるとは?

アメリカに興味がない人もアメリカンドリームという言葉は聞いた事はあるだろう。先日全米で公開したザ•ファーストマン(日本は来年の二月公開予定)は史上初めて月面歩行したアームストロングの伝記を原作の話題の映画だ。ララ ランドでおなじみアカデミー最優秀作品賞を誇るデイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリングが主演。ネタバレをさける為、詳しくは言わないが今までのアメリカの成功体験物語とは少し違ったプロセスアプローチが施されてる様に思う。


さて早速本題の注目される働きかた”マルチスラッシャー”に迫っていこう。


マルチスラッシャーとは例えば私みたいにCreative Director/fashion consultant/Sales Marketing/company COOなど肩書きをいくつも持ってる人の事を指す。ちなみに言っておくと、マルチスラッシャー造語で正式には“Multi hyphenate” モウタイハイフニット。海外は並列をハイフンで区切るのに対し日本はスラッシュで区切る事が多いのでその様に命名して私はライフスタイルトレンド講座などでは使っているが英語圏にいく場合は注意が必要だ。


前提として肩書きが沢山ある人は怪しい。特に業態ジャンプとなると極めて怪しい。笑。身構えて当然だ。このマルチスラッシャーへの価値観がアメリカでここ3年位で大きく変わろうとしているという。そこで 実際マルチスラッシャーである20代アメリカ人スティーブに話をきいた。


「僕は俳優を目指してアリゾナからLos Angelesに来た。小さい役だがジャッキーチェンと共演した事だってある。リフト(Uberみたいなもの)のドライバー、英語講師もやっている。」ここまでだと全然関係ない業種を中途半端に夢追いするアメリカ人に聞こえる。彼はこう続ける。


「アメリカではトランプ政権以降若い世代を中心にアップセット(未来に対するあきらめ)風潮がある。未来は平等じゃないし、一途に夢が叶うかわからない。もしくはチャレンジしたもの全てが相互作用で叶うかも知れない。またチャンスを掴んだとしてもそれはスタートライン。想像と違うだろうし、飽きる事だってありえる。僕たちは夢を追うことを求めてるんじゃない、豊かな暮らしが何なのかを求めてる。」


チャイディッシュガンビーノとドナルドクローバーは同一人物。音楽業界でも、映画業界でも成功している。夢追い人が世界から集まる街LA。彼らのリアルは夢へのプロセスアプローチの中で豊かな暮らしが何なのかを求めている。それはアメリカだけの話なんだろうか。(文: クリエイティブディレクター 齊山陽子 )