山中 健

2024 06 May

シンガポールで日本のファッションマーケットを考えてみた

写真:オーチャードの核の一つ「ION]

 



 
GWも終わり。皆様、どちらかに旅されましたか?私はGW前のシンガポール出張の疲れを取るために近隣で済ませました。今日は7年ぶりに訪れたファッションマーケットで感じたことをお話ししたいと思います。
 
5日間にわたりフィールドリサーチをして、「よかったSCや商業ゾーンはますますよくなり、イマイチだったSCや商業ゾーンはどんどん悪くなっている」のを感じた次第です。
 
それはやはり「パンデミックのダメージ」と「ライフスタイルの変化」によるものだと思います。まず前者の要因として挙げられるのがかつてのインバウンドのボリュームである中国旅行客に加え、日本、韓国の旅行客の減少でしょう。中国はゼロコロナ政策が後を引き、日本は円安と内向きな思考、そして韓国はウォン安があげられます。それにより観光商業が各ゾーンのトップに集中し、商業近くの核が狭くなっています。例えばオーチャードなどは、地下鉄のオーチャードからサマセット、ドビーゴートまで商業が広がっていましたが、今はサマセットの手前で切れています。
 
続いて後者の「ライフスタイルの変化」。パンデミックによるE Cシフトにより現地の生活者が無駄な動きをしなくなっています。「東京23区程度の国土しかないシンガポールではすぐに買い物ができ、ECはそんなに利用されない」と言われたのは昔。今は越境ECをはじめECで買い物をするのが当たり前。ECでは体験できない飲食、不安が残るコスメや食物販などにフィジカルのニーズが偏り、その結果ファッションなどのテナントゾーンは閑散としていました。
地元の老舗百貨店ロビンソンはフィジカルの店舗がすべてなくなり、地元のデザイナーブランドも激減、グローバルSPAさえも撤退しているという状況です。
 
それと比べると日本の国内ファッションマーケットはまだ明るいようにも感じます。世界と比べたらリアルクローズの国内プレイヤー比率は高く、世界レベルに育ったデザイナーも多い。円安により弱気になりがちですが、ファッション先進国であると言っても良いと思います。ただし、それで海外に出られるかというと話は別。まずはインバウンドの勢いのあるうちに、観光商業としてファッション商業を進化させることが大事であると感じた次第です。

 

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