山中 健

2020 30 Jun

都市型SCの進化系「ニュウマン横浜」

 横浜駅西口にオープンした「ニュウマン横浜」に行ってまいりました。蜜を避けて予約制来店をとっていた同館。その予約制が開けた翌日29日に行ってきました。

 最初に抱いた感想は、「百貨店との垣根はますます低くなった」ということです。SCのテナントミックスと百貨店のブランド・業種構成に差がなくなってきたということです。

 先に流通業界の覇権を握った百貨店、そのあとに小売業界のデフォルトとなったSCという構図から「百貨店がやらない」「百貨店ができない」ブランドや業態などを構成するのがSCの当たり前でしたが、「ニュウマン横浜」は百貨店が得意としてきた「ラグジュアリーブランド」「化粧品」「自主売り場」を強化しています。

 

1.ケリンググループが集結したラグジュアリーブランド

 

 「グッチ」「バレンシアガ」「サンローラン」「ボッテガヴェネタ」とケリンググループのスターが集結した1F、2Fはまさに「ラグジュアリーモール」のよう。以前はこれらのラグジュアリーブランドを集結した「ラグジュアリーモール」は、百貨店のない商業地(表参道、六本木、丸の内)にありました。それは百貨店との力関係によるものだったと思います。西梅田の「ハービスエンド」、名駅の「ミッドランドスクエア」、銀座の「銀座シックス」、渋谷の「渋谷パルコ」などもありますが、どれも交通発生源(駅など)から百貨店を結ぶ導線から外れていました。しかし「ニュウマン横浜」は、同じ西口にある横浜高島屋まで至る導線の上であることが驚きです。「渋谷スクランブルスクエア」に続き、百貨店からSCへラグジュアリーブランドの出店政策が移っていることを感じさせます。

2.化粧品売場の強化

 ファッションの比率を下げ、化粧品強化を続けてきた百貨店。欧州などでは、日本でいう「制度化粧品」の売り場の他に、「セルフ化粧品のアップグレードゾーン」を強化し、「第二の化粧品売場」を開発しています。日本では「制度化粧品」は百貨店、面積を必要とする「セルフ化粧品のアップグレードゾーン」は駅ビルやラグジュアリーモールとなってきましたが、「ニュウマン横浜」ではラグジュリーブランドのコスメショップ、「セルフ化粧品のアップグレードゾーン」ともに出店しています。百貨店の「第二の化粧品売場」開発を阻んでいるかのようです。

3.魅力ある自主売場

 私が今回、興味を持ったのが、ルミネが手がける「自主売場」です。特に6階の「2416 マーケット」は見応えがあります。食を横断的に編集し、ファッション化して見せる手法。イタリアのイータリー、パリのボンマルシェに通ずるものを感じさせます。他にも催事スペースを組み入れ、不透明な今の時代に対応できるスラックを用意している点は、今後の大型店作りの参考になると思います。

 

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