内田 文雄

2019 17 Jun

自分達は何者で、何をするために海外へ出ていくのか?

変なタイトルで恐縮です。

これは前職のグローバルカジュアルブランドのTOPの方が、いつも我々に話をしていたメッセージです。

 

要は...日本生まれのブランドがただ単純に海外に出たい、という安易な発想では無く、まず自分自身がどのようなステートメントを出し、どんなミッションが有り、それが前提で自分自身がどのようなコンセプトを持ったブランドなのか?を明確にさせること。そして、わざわざ高いリスクを背負ってまでも、何の目的で海外に出ていくのか?を決める、ということだと思います。

 

全てにおいてその核心になるのは「商品(産品)」であることは当たり前です。その「商品」を年々進化させて、時代にFITさせていくことも重要。上述のブランドも、当然ながら商売をするために海外に出て行き、その国々でどのような社会貢献をし、多くの雇用を生み出すのか?それを常々試行錯誤しながら考えていました。

 

このブランドの規模ならずとも、多くの日本企業が海外に店を出すことを目論んでいます。しかしどれだけの企業が「自分達は何者で、何をするために海外へ出ていくのか?」をキチンと議論して決めて、海外に出よう(出ている)としているでしょうか?

文章と関係ありませんが、今週MD24週から早くもSALEスタート、年々早まっています

 

最近多くの日本の大手アパレル、小売企業の方々から相談を受けます。「上海に出店したいのだが、出店エリア、商業施設は何処が良いですか?」「適正な上代設定は?」「日本での売れ筋があります。その商品を中国で自信を持って売りたいのだが...」という...こちらが無言になってしまうレベルの内容。

それは第三者の私に聞くことなのか?先ずは自らが仮説を持った上で、例えば「A案かB案か迷ってます。それぞれのメリット、デメリットは...なんです。内田さんならどう考えますか?」と相談されるならまだ理解もでき、答えようがあるのですが。

 

一方で、私はJETRO(日本貿易振興機構)さんの、中国でのアパレル・テキスタイル領域のコーディネーターを担わせて頂いていますが、相談者は中小の企業さんが多いせいもありますが、皆さん真剣に考えて打って出ようとされていますし、「自分達は何者で、何をするために海外に出ていくのか?」が明確です。

 

2012年の尖閣問題から7年が経ち、中国と米国との関係もあり、日中関係も日増しに良くなりつつあります(のように見えます...)。時代はオンライン販売が盛況で、越境でモノを購入し、日本、日本商品への興味を持つ消費者が増え、日本に気軽に渡航しています。私は7年前に今のような時代になるとは、全く想像すらしていませんでした。

 

そのような時代の変化もあり、中国で商売を!という雰囲気になり、追随する日本の企業が増えていることは実に喜ばしいことなのですが、上述のような有様の企業には苦言を呈したいのです。せめて、自分達は何者!だけでも明確にしないと、中国での商売は難しいです。「日本では名が知れた...」では全く通用しないし、「自分達は何者」という答えになっていません。

 

それでは!