生地 雅之

2021 25 Jan

コトからモノへ

「モノからコトへ」と言われて久しい。小職は業界でもいち早く(約40年位前)から唱えていました。確かに当時から最近まで、アパレルも小売業も言い続けてきました。しかし、各社は中々コトで飯が食えていないのが実態です、

再度コトへの移行を振り返って見ますと、モノの重要性への配慮がどんどん失われているようです。要はお客様が買うのは結果商品であり、ライフスタイル全体を変更するのは至難の業であり、家の中や衣服TOTALをすべて変更するには、財力も必要なのです。

 

一般顧客は一つずつ購入し積み上げて理想のライフスタイル型に変えていくのですが、購入する一つ一つがモノとしての価値を保持していない限り、購入して頂けないのです。当然なのですが、

昔ラルフローレンのコンセプトは、収入の1週間は食費、1週間は衣服、1週間は生活費との様に、昨年買ったチノパンに今年買った綿セーターが合うといった組み立て型なのです。

これでも家中は全てラルフフローレンになるには相当の時間が掛かるものなのです。現在のMUJIが衣料品を除いて完成度が高いのですが、

 

何処で道を間違えたのか、ライフスタイルという言葉に踊らされ、モノのグレードが軽視されてきているのです。雰囲気やコーディネイト重視であり、単品の品質やグレードは疎かにされているように映る企業の多い事か。企業によってはそうではないのでしょうが、散見されているのです。

 

先日は、GMSでは当然のごとく、イオンリテールでは女性向けの打ち合わせがメンズのパジャマで展開され、いままであり得なかったイトーヨーカドーでも散見されています。

しかし、ユニクロはしっかりとメンズはメンズ、レディスはレディスで生産されていますが、お客様の意識がなく、レディスの商品を店頭で男性が試着していたのです。前身の打ち合わせで、背中の剥ぎも上前・下前が逆になっているレディスのオーバーシャツを試着されていたのでした。ユニクロのタグにはメンズやレディスの表記が記載されています。

ファッション業界はお客様への啓蒙も仕事の一環なのです。法律違反ではないのですが、衣服を着るだけと思うお客様が多くなると、わざわざ女性仕様など不要で、すべて男性型か女性型に統一する方がよほど生産性が向上するのです。

 

コロナ禍で余計にモノを見ないで購入されるケースも多いのですが、オンライン売上がリアルをカバーできるほどでもありません。コロナ禍で苦戦を強いられている小売業やアパレルは第2の事業構築が求められています。この状況の中で安定している企業に任天堂があります。「あつまれ動物の森」をゲーム開発し、スイッチを購入しないといけないビジネスモデルを構築しているのです。これは巣籠でなくても安定していたのです。

 

要はコンテンツビジネス構築が新規事業としても必要な時代になってきているのではないでしょうか?お客様が購入するのは一つ一つのモノであり、それ以上でもそれ以下でもないのです。モノのグレード低ければ、本来全体のバランスよりも重要度が高いのです。

過去からの提言でも、各社はモノのグレードを下げてまでコト優先と言っていなかった筈が、世の中自然にコト偏重型で、モノ軽視に向かっていると映るのです。しかしお客様は賢者であり、見抜かれていて売上が低落しているのではないでしょうか?

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

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