生地 雅之

2020 26 Oct

ユニクロが百貨店を壊す?

タイトルだけを見ると、百貨店の顧客がユニクロに流れているという一般的なマスコミのコメントに等しいように見えるのですが、実は百貨店層がユニクロやECに流れているのではありません。

まずECはチャネルの一つですから、百貨店の店頭からECに流れる人は確かにいらっしゃいますが、まだ百貨店のEC化率は1~2%程度なのです。リアルでも百貨店層がユニクロ等に流れている人は少ないのです。ターゲット層が違うので、

 

ではユニクロの何が百貨店を壊そうとしているのかというと、考え方なのです。実はユニクロが百貨店を壊そうとしているのではなく、百貨店側が本筋を見失って緊急避難しているだけなのです。

ユニクロは自社・自店の顧客ターゲット(一般大衆)のメインであるマスを狙ってのベーシックアイテムを軸に、それを際立たせるための周辺商品をちりばめているのです。メインの売るべき商品と見せる商品の区分(見た目は大した差はないのですが)は明確に付けており、生産量の差は半端ないのです。それでも見せる商品はバラバラと残しているのです。

 

百貨店の最盛期は、自社・自店の顧客ターゲットのど真ん中を狙っていたのですが、ユニクロの脅威(売上規模も営業利益額&率も高い状態を維持=ビジネスモデル、特にファンクションが凄い)に感じ、百貨店とユニクロの差は上顧客に向けたカスタマイズだと考え、差別化に向かっているのです。オーダー等も同様です。これにより百貨店は本来の自社・自店顧客を見失っているのです。

 

オーダーの様なカスタマイズに目が走りがちですが、ユニクロはオーダーを真剣に取り上げていません。ジャケット(もどき)の袖丈や着丈などを多用に揃え、組み合わせる手法でのオーダーもどきを展開しているのです。一人1着ずつ生産して、スーツ3~5万円程度では生産者は赤字なのです。(WINWINでないとビジネスは継続できないのは明白です)

百貨店はカスタマイズに目が行き「差別化が命」の戦術なので、GOAL(失敗)は目に見えています。

 

本来小売業は、まず「自社・自店の顧客が誰なのか」のメインターゲットを定め、そこに向けてのMDを組むべきなのです。その顕在需要をまず満たし、その後その顧客の潜在需要迄掘り起こして幅だし(増やすには減らす事も)、そしてそれからメインターゲット以外の顧客(通常は百貨店顧客の子供や孫のFAMILY)を狙う次世代戦略(MDも異なる)を対象にすべきなのです。

 

そのメインと次世代のターゲットの生活全般(ライフスタイル型)を狙えるMDを構築すべきなのです。それが差別化よりも重要な戦略(自店顧客FIT)なのです。まず自社・自店のストアブランドを磨き、その上で他社・他店との差別化が必要なら、カスタマイズした戦術に入るべきで、ストアブランドのブラッシュアップが出来れば、差別化などは不要なのです。

これをユニクロは自社・自店ターゲットに向けて徹底しているのです。

 

ECはチャネルの一つなので、自社・自店リアルからの流し込みは重要なのです。要は同じものを購入される方が2回目以降、その店でのECサイトを利用して預く事はお客様の利便性を高めるためにも重要な事なのです。しかし、同じものを購入されるのにお店に来店したい方というお客様の要望もある事は否定していませんが、

 

そして、リアルの売上を落とさないでEC売上を増やすには、まず自社・自店でリアルで購入されているお客様で、上記利便性を求めるお客様から自社・自店ECに移行して預き、リアルのその不足する部分に同業の他社のリアルから移動して預くのです。現在の自店のリアル客を自店ECに流すだけでは売上も変わらず、ECの経費のみ増大するだけなのです。

ではどうするのか?

 

本来は自社・自店のお客様の潜在需要の掘り起こしを目指し、自社・自店で衣食住の一つか二つを購入されていた人の残りの一つか二つを自社・自店に取り込む事が必要不可欠なのですが、他社のパイを取り込むのは、百貨店業界が6兆円弱でこれ以上伸びないと考えている場合の苦肉の策なのです。

 

このように、百貨店の戦略や戦術がユニクロの影響で、見誤っている事に気づき、早急に本来の姿の戻る事が最優先されるべきなのです。

要は他者のせいにしないで、自社・」自店の本来の顧客は誰か、其のメインターゲットは何を求めているのか、求めていなくても何を提案すれば響くのかを考え抜く知恵が必要なのです。

 

現在は自社・自店がこれからどうあるべきか、それに向かって現状からどう進むべきかを構築する必要に迫られてきています。経済環境は間違いなく変化の兆しが見えています。どう変わるのかは別として、その中での自社・自店は何をすべきかが問われているのです。

 

是非とも、健全なる企業経営に向けて、早急に改善・改革される事を祈念致します。

弊社へのご連絡は、HOME-PAGEのお問合わせより、お願いします。