小島 健輔

2019 19 Apr

マグネット109は「聖地」になれるか

 18年4月に「109MEN’S」から変身した「MAGNET by SHIBUYA109」が3月に第二弾のリニューアルを断行してジェンダレス/国籍レスな15店舗をオープン(リニューアルを含む)し大きく性格を変えた。B2の飲食店街やB1のスーツカンパニーはそのままで2F、3Fも一部の変更にとどまるが、4Fはストリート/ユニセックスファッション、5Fはポップカルチャー雑貨とイベントのフロアに一新され、「アキバ」を超えるポップカルチャーの発信拠点となることが期待される。
 中でも注目されるのが4Fの「A’GEM/9」と「THICC」で、トランスアジアンなジェンダレスファッションが共通している。
 「A’GEM/9」は西麻布系ビタ男ファッションの「FUGA」を主体とする(株)パワー・ボムが原宿スニーカー通りに16年末に開いたユニセックスなストリートブランドセレクトの「A’gem」を発展させたもので、スニーカー通りの「A’gem」が台湾ブランド主体なのに対し「A’GEM/9」は韓国ブランド主体で、西麻布系のコーナーも併設している。ストリート系のメンズブランドでユニセックス対応しており、サロンボーイ〜オトコの娘からボーイズオルチャンな女子までカバーしている。
 「THICC」は札幌でビタ男系のセレクトショップを展開する(株)GORI’Zが始めた韓国レディスブランド主体のユニセックスセレクトで、札幌4丁目プラザにも店(スポーツミックスの「VESTITI」との複合)がある。レディスブランド主体でオルチャン女子と可愛いオトコの娘をカバーしており、フツーの男子は見当たらない。ここのツィッター(THICC@BygoriZ)はオルチャン&オトコの娘ファッションはもちろんアニメから地下アイドルまで満載のポップカルチャー劇場で、アパレル業界人には衝撃的だと思う。
 MAGNETの変貌はまだ中途でポップカルチャーやオルチャン女子やオトコの娘に徹しているわけではないが、そんな狙いのアパレルや服飾雑貨、コスメや美容サービスのテナントが揃っていけば、「ギャルの聖地」と言われた往時の渋谷109に匹敵する「ポップカルチャーとユニセックスファッションの聖地」に化けると期待したくなる。渋谷が駅商業とオフィスビルのつまんない街になってしまわないよう、SHIBUYA109エンタテイメントさんに頑張ってもらいたい。

      
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