北村 禎宏

2019 26 Jan

ZOZOが騒がしい

ZOZOタウンのサービスを巡っての駆け引きが騒がしさを増してきた。

 早々に撤退を表明した大手総合アパレルあり、ブランドごとに玉虫色の対応をする旨を表明したアパレルあり、暫くは様子見を決め込むセレクトありという具合に、
反応と対応には各社各様の温度差がある。

 二つの軸でそれぞれのアパレルのポジショニングをプロットするとわかりやすい。
ひとつめの軸は顧客に提供できている価値とその裏返しである価格弾力性だ。一億総中流と言われたのは今は昔で、この20年ですっかり国民の二極化が進展してしまった。

 ほんの数%の富裕層と以下皆平民もしくは貧民という構造だ。平民と貧民は少しでも廉価を求めて鋭く素早い反応に加えて、そのくせ売れ筋やトレンドを期待したりもする。各社が先を争うように追いかけてきた売れ筋の期中企画と追加生産は彼ら彼女らの餌食になった。

 片や富裕層はラグジュアリーブランドを御用達といて我が道を突き進む。当然トレンドは意識しているが、売れ筋など眼中になく上代を見ることもなく商品をチョイスしていく。マイワールドをもつ消費者に対してマイワールドな商品を供給しているブランドは必ずしも多くない。私の直感的見立てにすぎないが、顧客数で数%から多くて一割、市場規模で十数%から多くてもクォーターに満たないというところだろうか。

 もうひとつの軸は、ZOZOとのお付き合いの世代である。第一世代はビームスやUAに代表される、ZOZOが海のものとも山のものとも知れない頃から、ZOZOの成長を大きく下支えしたブランド群だ。次にECが急成長する足音が聞こえはじめた段階でZOZOに乗っかった第二世代があり、答えが見えた後に我も我もと群がってきた第三世代がある。

 顧客提供価値が高い系(価格弾力性無縁系)×第二世代は早々におさらばすべきだろう。同じ属性の第一世代は、デリケートな関係にあることから様子見せざるを得ないのも致し方ない。問題はその他大勢で、しかも顧客提供価値が乏しい大多数の第三世代がどう処世していくことができるか。

 送料の問題のツィートが炎上したことも記憶に古くはないが、宇宙といい商標といい、なにかしらイケてなさを感じるのは私だけではないだろう。そういえば、そんな風雲企業もあったよねとならないことを祈るのみだ。

大坂なおみさんが爽やかな風を届けてくれる週末を期待しつつ。