北村 禎宏

2019 16 Sep

何だかなぁ

 ZOZOが構築したロジスティクスインフラには、アマゾンやヨドバシが興味を示しているのではないかと数年前から考えていたがヤフーときましたか。孫さんさえOKでであれば、フルスピードで事が運ぶソフトバンクならではの速攻が展開された結果だ。

 それにしても冴えないのはトップののコメントだ。もともと冴えないどころか大炎上まで引き起こす品性レベルの人材なので今さらはじまったわけでもないが。

 ZOZOがファッション業界に与えたインパクトと足跡は小さくないどころか、極めて大きいものがあると評価に値する。04年に姿を現したZOZOTOWNに業界人は度肝を抜かれた。そこにはリアルな街とショップがリアルにWEB上で再現されていたからだ。それが今ではただの縦スクロールサイトになり、プロモーションといえばディスカウントしかない体たらくに陥落してしまった。

 ささげに変革の嵐を巻き起こしたのは、急成長前記の大きな実績であるが、プロダクトのサプライチェーンにイノベーションを仕掛ける技量は皆無であったことはZOZOスーツの失策が雄弁に物語っている。単発の打ち上げ花火でレピュテーションを喚起し続けることで世間の注目を集めることでしか成長を担保できないことへの焦りは宇宙旅行へとつながっていく。

 あなたが宇宙に行っても、世間も業界も何の価値も得ることはない。宇宙開発が促進されるわけでもない。創業間もない宇宙ビジネスの広告宣伝に寄与するに過ぎない。ZOZOの出荷業務のラストワンマイルを支えてきた社員の人々の思いやいかに。近い将来はロボットにとって代わられることが確実な業務も、ここ十数年のZOZOの成長を支えてきたのは間違いなく働く人々の手であり足であり、そこでは多くの汗が流されてきたはずだ。

 ビジネスパーソンとしてのエグジットとしては見事と言わざるを得ないが、人としていかがなものかと考えると、何だかなぁと感じるのは私だけではないだろう。