北村 禎宏

2019 12 Aug

働き方

世の中的にはお盆休みの今週、本日東京に移動して13日から16日まで研修が入っている。

 製造業はラインのメンテナンスをまとめて行える好機なので、全社をあげて夏休みにする事例が多いが、その必要が必ずしもない企業においては、個人個人の夏休みの分散取得がかなり普及してきた。今回のクライアントもその事例にあたる。

 働き方改革とその源泉になる生産性の向上はあらゆる企業において喫緊の課題だ。
会議の生産性向上と題したコンテンツは、昨年から今年にかけて関西の大手化学メーカーで複数回リピートで実施された。手を動かす製造現場における生産性の高さは世界に誇れるレベルにある我が国ではあるが、知的労働生産性となると甚だ怪しいものがある。

 かつてSPAへのイノベーションが緒に就いた頃、当時の通産省の「生産性の低さという意味で最後に残された暗黒大陸がアパレル業界のサプライチェーンだと表現されて、私たち業界人はなにくそと奮い立たされた。それから三十年近くが経過して、十分に生産性は高まったであろうか?

 因果関係すなわち時間的後先としては、生産性の向上が果たされた結果として働き方が改革されるはずだ。にもかかわらず、働き方改革が先行してあわてて後付けで生産性を引っ張り上げようとしてもままならない。

 有給休暇は夏に一度だけ5日間取得して年一回の家族での海外旅行を楽しんだ私たちの世代は、それ以外は病欠に備えてフルフルで40日の有給を持ち越していた。先週お邪魔していた総合商社の喫煙スペースで次のような会話が耳に入ってきた。20代半ばの若人が「先輩はいつ休まれます?私は8月30日一日だけ休ませてもらいます。」と。夏だけが有給シーズンであるわけではないが、なんとも遠慮がちな申告には複雑な思いが去来した。

 バリバリ仕事をして早く一人前になりたいというモチベーションは今も昔も変わらずあるはずで、さらに周囲との兼ね合いから休みのことを持ち出すことに少なからず抵抗がある個人やチーム環境がなくなったわけでもなかろう。

 帰省した子供たちの歓声も聞こえてくるお盆の最中に、究極の知的労働生産性「問題解決」に取り組む週間も悪くない。